経済産業省、国土交通省、農林水産省の3省が主催する「持続可能な物流の実現に向けた検討会」の第6回会合が開催された。中間とりまとめの公表後はじめての会合では、物流の効率化のための新規立法措置を念頭に、2024年夏までに最終とりまとめを行なうとした。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・図/持続可能な物流の実現に向けた検討会・日清食品・フルロード編集部
3省が設置した検討会
物流は生活や経済活動を支える重要な社会インフラとされるいっぽう、トラックドライバーの長時間労働や取引環境などを背景に深刻な人手不足にある。
特に、2024年4月から働き方改革関連法によりトラックドライバーの時間外労働の上限規制が導入されることから、ドライバーが足りず、荷物が運べなくなる可能性がある。これは「物流の2024年問題」と呼ばれ、持続可能な物流に向けて実効性のある取り組みを進めなければいけないという認識が広がっている。
経産省・国交省・農水省の3省においては、2022年に「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を設置し、物流事業者だけではなく、荷主企業や一般消費者を含めて、それぞれの立場で担うべき役割を再考し、物流の諸課題解決に向けた検討を進めている。
2023年2月17日に開催された第6回検討会は、同月8日の「中間とりまとめ」公表後はじめての会合となり、新規立法措置を念頭に最終とりまとめの具体化を目指すとした。
トラックドライバーの働き方を巡っては、厚生労働省が「改善基準告示」(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を正式に改正し、年間の拘束時間は原則3300時間などとする見直しが行なわれた。
こうした働き方の規制を加味した物流需給ギャップ(物流における需要=貨物の量と供給=トラック輸送力の差)は、2030年までに国内貨物の3分の1に当たる約10億トンの輸送力不足に陥るという試算が、検討会の第3回会合で示されている。
トラック輸送の担い手確保とともに、荷待ち・荷役時間の削減や付帯業務の見直し、取引慣行の適正化など、物流の効率化を進めることが急務となっているが、荷主企業や消費者の理解が必要なことから、あまり進んでいない。