政府は第2回となる「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を開催し、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容などについて政策パッケージとして2024年初に法制化する方針を決めた。
2024年4月から適用されるトラックドライバーの働き方改革に起因する諸問題は「物流の2024年問題」と総称され、社会課題となっている。
その対策を検討する関係閣僚会議の第2回では、政策パッケージ案が取りまとめられ、具体的には、荷主を監視する「トラックGメン」の設置、高速道路における大型トラックの制限速度引き上げ、物流改善を評価・公表する仕組みの創設などが提案された。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・図/首相官邸・内閣官房・フルロード編集部
「2024年問題」対策を法制化へ
2023年6月2日、総理大臣官邸で第2回目となる「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が開催され、物流改革に向けた政策パッケージ案が議論された。
働き方改革関連法により2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働時間に上限が設定されるなど、従来通りの働き方ができなくなることによる諸問題は「物流の2024年問題」と呼ばれ、大きな社会課題となっている。
その対策を検討する政府の関係閣僚会議では、3月に開催された第1回会議で6月上旬を目途に緊急に取り組むべき抜本的・総合的な政策パッケージを取りまとめるとしていた。
そして、この度開催された2回目の会議で政策パッケージの具体案が提案されるとともに、次期通常国会(常会は毎年1月に召集される)での法制化を含め、中長期的に取り組むための枠組みを確実に整備するという方針が確認された。
重量ベースでは国内物流の90%以上をトラックが担っている。2024年問題に関して何も対策を講じなければ、日本の物流網は2024年に14%、2030年に34%の輸送力不足に陥り、物流が停滞する可能性が指摘されている。逆に言うと、現在の物流はそれだけの過度な負担をトラックドライバーに強いているという実状がある。
物流改革を推進するためには、荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して、物流を支えるための環境整備を行なう必要がある。そのための具体的な施策が関係省庁から提案され、「商慣行の見直し」「物流の効率化」「荷主・消費者の行動変容」の3つの項目にまとめられた。
ちなみに初年度となる2024年度の施策効果は、「荷待ち時間の削減(3時間から2時間、達成率3割)」、「積載効率の向上(38%から50%、達成率2割)」、「再配達削減(12%から6%)」などにより合計14.3ポイントの改善となり、物流停滞は(ギリギリで)避けられるという試算だ。
とはいえ今年度(2023年度)中に実行しなければ間に合わない施策もあり、法制化を待たずに直ちに取り組む必要がある。