■WLTCに続くRDE燃費計測が2022年10月から始まる!
別の燃費規準改定の動きとして、欧州では2017年9月からWLTCとともに、実際の路上走行の排ガス低減を目的としたRDE(Real Driving Emission)規制が導入されている。
きっかけとなったのは、VWディーゼル車の排ガス不正問題だ。2015年9月に米国の環境保護局(EPA)がVWグループに対し、大気汚染防止法の違反を通知した。
ディーゼル車で組み込まれていた不正プログラムは「Defeat Device(無効装置)」と呼ばれ、走行パターンを分析してモード試験を受けていることを検出すると、その場合のみ排ガス中の有害物質の排出量を低減するように仕立てられていた。
このような不正ソフトの使用は過去にも多くの事例があったが、今回のように大量の車種に利用した例はなかった。
VWディーゼル車の不正プログラムは、エンジン回転やステアリングの挙動から、モード運転中か、一般の路上走行中かを判断して、路上走行の場合はEGRを減らす(NOxを大量放出)等の操作によって、走行性能を確保するという内容だった。
そこで一気にEU、特にドイツでの試験方法としてRDE試験が採用されることになった。
この試験法では、排ガスなどの計測機器を試験車両に搭載することで、日常的に使用するすべての運転条件が排ガス試験の対象としている。
例えば、車速だけでなく減速や標高や外気温なども幅広く規定され、条件に合致した一般道を実際に走行し、排ガスを車載排ガス分析計であるPEMS(Portable Emissions Measurement System)と呼ばれる装置で計測する。
WLTCはこれまで現実の燃費に近づくことを目指したモード燃費改善の最新の努力の成果だが、ディーゼルの排ガス不正が発覚したことで、RDEの役割が大きくなった。
国土交通省は2018年3月に道路運送車両法の「保安基準の細目告示」の改正によって、乗用ディーゼル(乗車定員9人以下、車両総重量3.5トン以下)の新型車は2022年10月から、継続生産車は2024年10月からRDE試験法の適用を開始することを発表した。
このように、国交省が先日発表した、直噴ガソリンエンジンのPM排出量の規制強化をはじめ、どうやら排ガス規制強化の流れは新たなフェーズに入ることになったようだ。
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