アルファード ヴェルファイアを超えるミニバンはなぜ出ない??

■もはやライバル車は輸入車しかない?

■レクサスLM

 全長×全幅×全高は5040×1850×1945mm。アルファード比で全幅は変わらないものの、全長で90mm、全高は10mm拡大されている
全長×全幅×全高は5040×1850×1945mm。アルファード比で全幅は変わらないものの、全長で90mm、全高は10mm拡大されている

 というわけで国産車ではアルファード/ヴェルファイアのライバルは不在といった状況。では海外に目を向けるとライバル車はいないのだろうか? 

 と、その前に、ブランドこそ違えど、同じ会社から現われた強敵から紹介しよう。2019年4月の上海モーターショーで公開されたレクサスLMである。

もはや走る応接室。中国では約2000万円級になるのではないかといわれているが、ロールスロイスやベントレーに比べれば格安?
もはや走る応接室。中国では約2000万円級になるのではないかといわれているが、ロールスロイスやベントレーに比べれば格安?

 中国の富裕層に好まれるBピラー部分に固定のパーティションが設置されていて、後席はゆったりとした2座配置。アルファード/ヴェルファイアベースなのに、乗車定員4名という贅沢なパッケージングとなっている。

 しかも、そのパーテーションは単なる樹脂の壁ではなく、内部にスチール構造材を仕込んだがっちりとした作りでボディ剛性アップにも貢献しているという。

 シートにもきめ細やかな気配りが施されており、シート内部のウレタン層の下には、低反発枕などに使われる粘弾性ウレタン層があり、シートそのもののダンピング効果が向上しているという。

 さらに、シートレールの剛性不足からくる不快な振動を抑制するため、後席はスライド機構を廃した固定式として、肘掛部分がそのままフロアに剛結。なんとバックレストにはご丁寧なことに4つのダイナミックダンパーが仕込んであるという。

 足回りではスイングバルブ式ショックアブソーバーを採用するなど、乗り心地を中心としたセッティングをさらに煮詰めている。

 上海モーターショーでの公式発表では、日本での発売はないというものだったが、販売店取材に定評のある流通ジャーナリストの遠藤徹氏が取材したところによると、レクサス販売店筋の情報として、

「レクサスLM300hはまず、中国やアジアの一部で2020年秋頃発売になり、日本にはその1年後の2021年秋頃の投入する方向で開発中というのが有力になっている」という。

 オラオラ感のあるアルファード、ヴェルファイアに比べ、グリルこそ大きいものの、シンプルでギラギラ感がない。本当のお金持ちは、余裕というか、大人の風格、上品さを持っているんだぜ! とレクサスLMは主張しているように思えるのだ。

 とはいえ、日本で販売したとしても、相当盛られる(1500万円以上?)はずだから、直接のライバルとはならないのでは?

■メルセデスベンツV260ロング

輸入車のなかで、アルファード、ヴェルファイア最大のライバルといえるのがメルセデスベンツVクラス(写真はビッグマイナーチェンジ後のVクラス)
輸入車のなかで、アルファード、ヴェルファイア最大のライバルといえるのがメルセデスベンツVクラス(写真はビッグマイナーチェンジ後のVクラス)

●車両価格:738万円
●ボディサイズ:全長×全幅×全高:5150×1930×1880mm、乗車定員:7名
●エンジン:2L直噴、直4ターボ、211ps/35.7kgm
●安全装備:ブラインドスポットアシスト/レーダー型衝突警告システム/レーンキーピングアシスト/ディストロニック・プラス/LEDインテリジェントライトシステム/360°カメラシステム/アテンションシステム/など

 輸入車のなかで、アル/ヴェルの最大のライバル車といえば、まず思い浮かぶのがメルセデスのVクラスだ。

 現在、新車で買えるのはV260ロングは全長が5mオーバーと、トヨタハイエースのスーパーロング(5380mm)と匹敵するようなボディサイズを誇る3列シート7人乗りミニバンである。

アルファード、ヴェルファイアと遜色のないVクラスのシート。横方向はVクラスの方が断然広い
アルファード、ヴェルファイアと遜色のないVクラスのシート。横方向はVクラスの方が断然広い

 2列目独立シート、3列目ベンチシートともにスライド、バックレスト前倒し、タンブル、セカンドシートを対面セットできるなど、居住性も抜かりなく、その気になればミニバン的な使い方もできて、2列目のタンブル、スライドを使うと3列目の乗降幅は余裕の広さを誇る。

 ちなみにメルセデスベンツ純正のドライブレコーダー付きデジタルルームミラーまで装備している。

 現在、日本でのラインアップはV260ロングのみ。実は2019年3月に本国でビッグマイナーチェンジが行われており、その改良版の日本導入が2019年中に間に合うかどうか。

 ビッグマイナーチェンジのメインは新型2L、直4ディーゼルターボ(163ps/38.7kgm)+9速ATが搭載されたこと。おそらく日本仕様はV220d(全長4895×全幅1930×全高1880mm)とロングボディになりそうだ。

 たしかに、メルセデスベンツというブランド力、スリーポインテッドスターがグリル中央に鎮座した威圧感のある顔、最新の安全装備と巨大な室内の居住性(特に室内幅)は凄い。

 しかし、1930mmという全幅はやはり日本では大きく、扱いにくいし、シートアレンジの幅広さと使い勝手を考えると、アルファード、ヴェルファイアのほうが上だと思う。

■VWシャラン

 ハンドリングもミニバンとは思えないほどしっかりしており、スタビリティが高い
ハンドリングもミニバンとは思えないほどしっかりしており、スタビリティが高い

■VWシャラン トレンドライン
●車両価格:505万4220円~
●ボディサイズ:全長×全幅×全高:4885×1910×1750mm、乗車定員:7名
●エンジン:1.4L直噴、直4ターボ、150ps/25.5kgm
●安全装備:ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)/レーンキープアシストシステム/アダプティブクルーズコントロール/プリクラッシュブレーキシステム/リヤトラフィクアラートなど

 次はVWのシャランだ。VWのミニバンといえばトゥーランを思い浮かべるかもしれないが、それよりもひと回り大きいモデルがシャランだ。

 7人乗りのシャランのシートは1列目から2人、3人、2人のレイアウトで、2、3列目のシートもベンチシートタイプではなく独立シートが採用されている。

 重厚でカッチリとしたフロントシートと同等のシートが、1人1座、設けられているのだ。おかげでシートベルトは装着しやすく、体のサポート性も極めて高い。

独立式のシートはカッチリとした作りで長時間のドライブが疲れにくい
独立式のシートはカッチリとした作りで長時間のドライブが疲れにくい

 2列目シートは160mmのスライド量を持つ。そのため3列目にも十分な足下スペースを配分することが可能で、快適に大人が座ることができる。

 アルファード、ヴェルファイアと一番大きな違いは、ハンドリングだろう。ミニバンとは思えないほどしっかりした、ドイツ車らしいハンドリングで、走りが楽しくなるといっては大げさだが、家族が乗っていない時に走りが楽しめる、そんなミニバンである。

 廉価モデルのトレンドラインだと392万2020円から選べるのだが、できれば上級モデルのハイラインをチョイスしたい。ハイラインでは505万4220円からで人気モデルだと純正ナビが装着されて522万8640円から選べる。

次ページは : ■さらに日本ではレアな輸入車だと注目を浴びること間違いなし!

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