■「ちょっとちょっと隙間探し大作戦」発動!!
寺崎…大型のEVを開発するなかでの苦労話や、ブレイクスルーは何かありましたか?
半田…ガソリン車にモーターや大容量バッテリーを搭載しても、5人乗れて荷物も載せられる普通のクルマにできたことです。
寺崎…心臓が2つあるって変だと言う人もいましたね。
半田…いました。でも本当にエンジンルームにエンジンとパワートレインが載らない。そこで全スタッフを集めて、隙間を探すんです。「チリツモ」で今日は3mm、今週は2mm……と、「ちょっとちょっと隙間探し大作戦」です。
寺崎…実際、載るものなんですか?
半田…数mmずつ隙間を見つけていって載ったんです。びっくりです。奇跡です!!
寺崎…ガソリンを入れるだけでずっと使える単なるハイブリッド(HEV)ではなく、充電可能な「PHEV」はわかりづらい、と言う人もいますよね?
半田…当初、社員にも理解していない人はいました。ですので、「普段はモーターで走り、遠出した時、バッテリー残量が切れたら、エンジンで走るクルマだ」と説明しました。
会社の駐車場に普通充電器を設けて、会社で充電すると普段は一滴もガソリンを使わない。週末のお出かけでガソリン使っても2000km走行で1回給油する程度。年間1万km走るとしたら、1年で給油は5回だけ。そんな経験を、社員に体験してもらいましたね。
寺崎…なるほど~。板倉さんのPHEVのイメージは?
板倉…クルマを移動手段と思う方が多くて、PHEVのことやシステムのことを知っている人は少ないかな、というイメージです。
■三菱の四輪制御技術は、今のPHEVと好相性!
寺崎…2024年10月、アウトランダーPHEVがビッグマイナーチェンジしました。
半田…フロントとリアにモーターを搭載して四輪制御で三菱の技術を電動車にも使う。ランサー、スタリオン、ギャラン、ランエボなど、2005年WRC撤退まで磨いた四輪制御技術は、今のPHEVと相性がいいです。
四輪の性能を使い切る考え方は同じで、それが注入されたのがアウトランダーPHEV。今回のビッグMCで技術と走行性能が磨かれています。
寺崎…SUVは、静粛性よりも走破性を求めますよね?
半田…お客様は静かで、EVらしく電気だけで走ることも望みます。高い走破性と静粛性を兼ね備えたSUV、これがアウトランダーPHEVです。
寺崎…三菱のPHEVは発電・給電ができるので、2019年9月の千葉県台風でも役に立ったと聞いていますが……?
板倉…僕は千葉県に住んでいて、その台風の時は停電で大変でした。エアコンが効くので車中泊しましたね。
半田…三菱は老人ホームに行って、アウトランダーPHEVの電源で200人分の洗濯をしました。暗闇のなかで明かりが灯って、安心されたそうです。
寺崎…バッテリーから電気を使い、なくなればエンジンで発電。ガソリンがなくなればスタンドで満タンにして戻って、また電源になる。
半田…はい。最初は千葉県のどこに行けばいいかわからず……。この経験を生かそうと三菱自動車は47都道府県の200以上の自治体と災害時協力協定を締結して、災害発生時、停電の発生している地域にPHEVを届ける給電活動を行っています。
寺崎…とても頼もしい活動ですね!
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