熾烈な販売合戦を何世代にもわたり展開しているのが、2Lクラスミニバンで、現在トヨタはヴォクシー/ノア/エスクァイア、日産はセレナ、ホンダはステップワゴンをラインナップしている。
かつては2Lクラスのガソリンエンジンのみだったが、全モデルハイブリッドをラインナップし、ノーマルボディとエアロボディも用意するなど至れり尽くせり、選び放題だ。
そしてこのマーケットは販売台数が多いのも大きな特徴だ。決算期などでは1万台オーバーも珍しくない。
そんななか、現行モデルのステップワゴンの販売が思わしくない。ほかのカテゴリーのクルマからすれば上々の販売実績なのだが、ライバルに対して苦戦を強いられている。
その要因はどこにあるのか? 販売現場の声を通して、ステップワゴンの現状に迫ると同時に今後の打開策などについても言及する。
文:遠藤徹/写真:HONDA、TOYOTA、NISSAN、平野学、ベストカー編集部
モデルが古いライバルにも勝てない苦境
2019年11~10月の登録累計で見るとステップワゴンは4万6306台、月平均4631台。これに対してライバル4車はセレナが8万3704台、同8370台、ヴォクシー7万7337台、同7734台、ノア4万6567台、同4657台、エスクァイア3万6107台、同3611台であるからステップワゴンより下なのはエスクァイアのみで4位と惨敗状態である。
現行モデルの登場はステップワゴンが2015年4月23日、セレナが2016年8月24日、ヴォクシー/ノアが2014年1月20日、エスクァイアが2014年10月29日となっている。
最も新しいセレナが一番売れているのは新型車効果がまだ効いているはずだから当然ともいえる。問題はステップワゴンである。ヴォクシー/ノアよりも1年以上も新しいのに負けているのである。
帯に短したすきに長し!?
この理由を首都圏にあるホンダカーズ店の営業担当者に聞いてみると、「メインのガソリンターボは性能的には問題はないが、1.5Lであり排気量が小さく、ライバル他社の2Lに比べると同じ価格帯なのに見劣りがする印象になっている。ハイブリッドは2Lでトヨタの1.8Lよりも格上感があるものの、価格が高いうえに値引き余力がないので余計に割高で売れ行きが伸び悩んでいる」と説明する。
このほかリアドアのワクワクゲートは横開きで便利だが、デザインがよくないとの見方もある。
値引き幅が小さいハイブリッドは割高感がある
車両本体価格を比較してみるとステップワゴン1.5ターボが250万1400~315万1500円に対してセレナ(2L)は257万6200~322万7400円、ヴォクシー/ノア(2L)は255万6400~344万3000円、エスクァイアは271万3700~332万8600円となっている。
ステップワゴンは絶対的な価格は安めなのだが、1.5Lの割りには高いという印象があるのかも知れない。
ハイブリッドだとステップワゴンは336万1600~362万5600円に対してセレナe-POWERは299万7500~372万5700円、ヴォクシー/ノアは305万9100~334万7300円、エスクワイアが319万8800~334万8600円でステップワゴンハイブリッドのほうが20万円程度高い。
ナビ、ETC付きの値引き幅はステップワゴン1.5ターボが26万円、ハイブリッドは20万円、セレナはガソリン、e-POWERともに27万円、ヴォクシー/ノア/エスクワイアもガソリン、ハイブリッドとも26万円となっている。
つまりステップワゴンハイブリッドは1.5ターボより70万円以上も高いのに値引き幅が逆に小さいので、余計に割高感があり、販売が伸び悩む要因となっている。
ハイブリッドやe-POWER車の販売構成比はステップワゴン40%、セレナ40%、ヴォクシー/ノア/エスクワイア30%であり、ステップワゴンは高い価格設定のハイブリッドの貢献度が高いのが逆にネックになっているともいえる。
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