2020年は、コロナ禍で自動車の販売台数は落ち込み、新車・中古車ともに大きな影響を受けている。しかし6月ごろから、中古車市場は回復の兆しを見せ、8月の中古車登録台数は26万6735台(前年同月比104.5%)となっている。
ところで、中古車は、中古車専売店だけでなく、新車ディーラーでも取り扱いされており、さらにはネットオークションなど、様々な場所で販売されているが、いったいどこで購入するのが賢い選択なのか。元自動車ディーラー営業マンの筆者が、新車ディーラーと中古車専売店にスポットを当て、考察する。
文:佐々木 亘
写真:NISSAN、TOYOTA、SUZUKI、MAZDA、SUBARU、写真AC
中古車販売力強化を行う販売現場
近年は、新車ディーラーも、中古車販売に力を入れている。中古車販売スペースを拡大、なかには、中古車のみを取り扱う店舗も出てきている。
一方、中古車専売店も、インターネットを使った販路を広げつつ、展示場の数を増やし、勢力を広げている。広大な敷地に大型展示場を作り、展示台数が1,000台に近い店舗も珍しくない。
このように、中古車販売は、大規模店舗から小規模店舗まで入り乱れての販売合戦となっている。ユーザーにとっては、様々なクルマを比べて購入できるため、大きなメリットとなるが、クルマ選びやサービス選びが難しくなるため、どこから購入するべきか、注意が必要となる。
両者のメリット・デメリットは相反関係
ディーラーで、中古車を購入するメリットは、販売されている中古車の品質にバラツキが少ない点と、アフターサービスに不安が少ない点だ。
認定中古車制度を広く導入し、取り扱う中古車に対して、年式の下限、走行距離の上限、修復歴・事故歴が無いことなど、明確な基準を設け、ひとつでも基準に合致しないクルマは販売しない。また、商品は自社で下取したクルマが大部分を占めているため、使用歴が分かる点も、ディーラー中古車の安心材料のひとつになる。
もちろん、各メーカーの専門知識に長けたエンジニアが整備を行い、納車後にも、購入店舗が整備担当店舗となるため、保有中も安心して使えるのがディーラー中古車の魅力だ。
また、ディーラーでは自店舗で保有していた試乗車を販売することがある。決算期や新年の初売りに目玉商品として売り出されることが多いが、こういったタイミング以外でも購入することができる。対象となるクルマが、人気の新車で長納期となっていなければ、おおよそ登録から半年以上経過した試乗車は、販売できるものが多い。
表立ってプライスカードは付いていないので、営業マンに「この試乗車は販売できるものか?」と聞いてみると良いだろう。もし、販売可能という返事があれば、上質な中古車を手に入れるチャンスになる。
デメリットとしては、在庫車が少ない点と、専売店に比べると価格が高い点だ。一度に見ることができるクルマの数が少ないため、何店舗も探し回る必要がでてくる。インターネットでの在庫公開も進んでいるが、店頭在庫になってから数週間立たないと、ネットに掲載されないケースもあり、情報の鮮度は悪い。
それに対して、中古車専売店では、取り扱い車種が多く、在庫も豊富、そして何よりディーラーでの販売よりも比較的安価に販売されている。
自社買取以外に、中古車オークション(AA)を使って、順次商品の仕入れを行う専売店の在庫量は、新車ディーラーを大きく凌ぐ。また、低年式や過走行でも販売が行われ、ディーラーでは扱われない、旧車や、往年の名車を探すこともできる。
しかし、中古車専売店は、クルマの品質基準が一定ではなく、慎重に選ばざるを得なく、購入後のアフターサービスの脆弱性もデメリットだ。しかし、アフターサービスについては、大手専売店で改善の動きが出てきている。展示場に、整備工場を併設し、購入後のメンテナンスまで行う専売店も増えている。
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