HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった?

直噴技術の導入はいささか早計だった? 「三菱 GDIエンジン」

HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった?
三菱製GDIエンジンの初代モデル。ヘッドカバーには「GDI」の文字が誇らしげに刻印され、背化最初の量産型ガソリン直噴エンジンであることをアピールしていた

 「直噴」もしくは「GDI」という言葉を耳にした人は多いはず。これらは同じ意味で、GDIとは「Gasoline Direct Injection engine(ガソリン直噴エンジン)」のことで、従来型エンジンでは吸気ポートに噴射していたガソリンを直接シリンダーに噴射するもの。

 三菱が1996年に発売したギャランとレグナムにはこのGDIエンジンが採用され、メーカーでも量産型乗用車では世界初装備になるDGIを全面に押し出したキャンペーンを実施。全車GDI化を目指して積極的な開発を進めていた。

 実際に三菱GDIエンジンに対する市場の関心は大きく、ギャラン&レグナムは1996年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。

 だが、実際のGDIエンジンは期待されたほどには燃費性能が高くはなく、「環境にも優しい」と喧伝されたにも関わらず、NOx法にも対応できないなどのマイナス面が次第に目立つようになった。こうした理由から、2007年にはGDIエンジンの生産が終了している。

 ガソリン直噴エンジン自体は可能性のある技術であり、近年のクルマでも採用例が多い。三菱GDIエンジンは、市場に投入されるタイミングが早すぎたということだろうか?

燃費アップの決定版となるか? 「マツダ 超希薄燃焼エンジン」

HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった?
かつての国内ではアクセラと呼称されていたマツダ3。2019年登場のモデルからスカイアクティブ‐Xエンジン搭載モデルをラインナップ。燃費性能の高さが魅力となっている

 ガソリンエンジンでは、燃料となるガソリンを空気と混ぜて燃焼室で爆発させる。このガソリンと空気の割合を空燃比と呼んでいるが、なるべくガソリンの割合を薄くして、なおかつ高い燃焼エネルギーを得られれば、ガソリン消費量を大きく減らすことができる。

 これまでガソリン1に対して空気を14.7にするのが理想的な空燃比と言われてきたが、マツダが開発したSKYACTIV(スカイアクティブ)-Xエンジンは空燃比30という希薄燃焼(リーンバーン)を実現したことで話題となった。

 当然ながら、希薄燃焼の実現には大きなハードルがあった。なかでも通常の空燃比よりも窒素酸化物(NOx)の排出量が多くなるのは深刻で、環境問題を考えるとこれを避けて通ることはできなかった。

 マツダはこうした問題を解決するために独自の火花点火制御圧縮着火方式(SPCCI)を開発し、30:1の超希薄燃焼と低公害性を両立してみせた。

 スカイアクティブ‐Xエンジン搭載のモデルがデビューしたのが2019年。メーカーによると、これが超希薄燃焼エンジンの最終形ではなく、まだまだ改善の余地はあるとのこと。超リーンバーンエンジンの進化はこれからも続いていきそうだ。

安全性向上は永遠のテーマ「トヨタ 衝突安全ボディGOA」

HICAS、CVCC、GDIエンジン……一世を風靡した”ハイテク”技術はどこいった?
トヨタの5代目スターレット。このモデルから衝突安全ボディのGOAが採用された。GOAの登場によって他メーカーでも安全ボディに愛称をつけるようになる

 事故の際に、衝撃を巧みに分散させつつ、変形によって搭乗者にダメージを与えない――これがクルマのボディの理想と言えるが、そんな理想に一歩でも近づくことを目的に開発されたのが、トヨタの衝突安全ボディのGOA(ゴア・Global Outstanding Assessment)だ。

 GOAを採用したクルマの第一号は1995年12月発表の5代目スターレット。衝突時のエネルギーを効果的に分散するアンダーボディ骨格に強固なキャビンを組み合わせることで搭乗者保護性能を高めたGOAは、TV CMの「GOAください」というフレーズでも話題になった。

 GOAの登場を機に、他メーカーでも自社製自動車の衝突安全性能をより強化する流れができ、それがクルマの安全性向上にも貢献している。

 現在でもトヨタのクルマにはGOAの考えが継承され、もはやあって当然の基準にすらなっている。もちろん、クルマの安全性向上はこれからも変わらぬ永遠の開発目標であるのは間違いない。

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