クルマに設計や製造過程のミスなどに起因する不具合(安全面、環境面など)が生じた場合、メーカーや輸入業者は国交省に届け出て、当該車両を回収し無償修理する。
この自主回収には、リコール、改善対策、サービスキャンペーンと不具合のレベルによって3段階に分類されている。
クルマに限らず工業製品は不具合が出ることはあるし、メーカーがキッチリと届け出してくれたことでユーザーは安心に乗ることができるようになる。
しかし、そのリコールが頻繁に出る用だと大丈夫か? と不安にもなる。
本企画ではリコールの最新事情、発生件数に加え、リコールに関する素朴な疑問について諸星陽一氏がわかりやすく解説していく。
文:諸星陽一/写真:TOYOTA、SUBARU、SUZUKI、茂呂幸正、ベストカーWeb編集部
リコールは今後増えることはあっても減らない!?
日本で自動車のリコールは昭和44年度(1969年4月~1970年3月。資料は元号の年度で発表されていますが、わかりづらいので以下は西暦年度にて記載します)に始まりました。
国土交通省が発表している資料によれば、導入当初の1969年度のリコール件数は国産車が76件・256万1623台、輸入車が89件・8610台が届出件数となっています。
リコール件数・台数の推移を見ていくと非常に興味深い傾向が見られます。
まず導入翌年の1970年度です。1970年度のリコール件数は国産車が24件・149万5096台と件数は3分の1、台数は100万台強ダウン、輸入車は10件・2078台と件数が8分の1、台数が4分1強です。
規制がかかったとたんに件数台数が減るというのは、ちゃんとやるようになったというふうに見られても仕方ないでしょう。
その後、1977年度に国産、輸入合わせて168万3815万台と100万台を超えますが、1987年度の140万1293万台までは100万台を超えることはありませんでした。
その後、リコール件数は増加傾向になります。原因は色々ありますが、そのひとつとされているのが部品共用化の拡大です。世界的に拡大しているアライアンスや特許や技術の関係でひとつの部品が数多くの車種に採用されることが多くなってきています。
そのため、ある部品に不具合が発生するとその部品を使っている全ての車種にリコールがおこなわれる可能性があります。
近年の増加傾向は加速的で、2014年度は国産、輸入を合わせて955万7888台に増加、2015年度にいたっては前年の約2倍となる189万9037万台にまで増加します。
アライアンス強化、部品共有化は今後も広がっていくので、リコール件数が大きく減ることはあまり期待できないと言っていいでしょう。
リコールの無償修理に有効期限はあるの?
リコールの無償修理には有効期限はありません。リコールはいつまで経っても有効です。リコールは安全性や環境性能などが損なわれる可能性がある重要な案件なので、有効期限は設けられていません。
リコールが行われたクルマは対策済みであることを示すシールが貼られます。リコールの部位によってはリコールがすんでいないと車検に通らないこともあるので、注意が必要です。
リコールと似ていても異なるのが改善対策やサービスキャンペーンと言われるものです。基本的には改善対策やサービスキャンペーンも無期限ですが、特殊な場合も存在しています。
また保証期間延長という処置が取られることもあります。これは通常の保証期間よりも設定距離や設定期間を長くして対応する方法です。
すべての保証について期間延長するのではなく、特定の不具合についての保証延長となります。
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