マツダでは「アクセラ」が「マツダ3」、「アテンザ」が「マツダ6」、そして「デミオ」が「マツダ2」へと日本市場のみで使用されていた車名がフルモデルチェンジや一部改良を機にグローバルでの名称と統一された。
そして2020年2月にフルモデルチェンジを行った、トヨタ「ヴィッツ」もグローバルで使用されている「ヤリス」へと名称変更を行った。
2010年に登場した最終型のヴィッツは大ヒットコンパクトカーのフィットをライバル視していたため、走行性能に加えて、室内の広さを重視したユーティリティ志向の強いモデルだった。
しかしフルモデルチェンジで、ヤリスへの車名変更を行うとともに、ユーティリティ路線を捨てて、走りにこだわる路線変更を行っている。その結果、ヴィッツより室内空間特にリアの居住性が悪化しているという声も出ている。
そこで、今回は1L~1.5Lハイブリッドまで多彩なパワートレインを搭載し、使い勝手のよさも光るフレキシブルコンパクトカーの「最終型ヴィッツ」の中古車事情を紹介する。
文/萩原文博
写真/TOYOTA
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■バリエーション豊富な最終型ヴィッツ
最終モデルとなった「3代目ヴィッツ」は2010年10月に登場。ボディサイズは先代モデルより拡大されたが、高い空力性能を発揮した。
デビュー当初搭載されているエンジンは最高出力69psを発生する1L 直列3気筒DOHCをはじめ、最高出力95psを発生する1.3L 直列4気筒DOHCそして、最高出力109psを発生する1.5L 直列4気筒DOHCの3種類で、1.3Lエンジンにのみアイドリングストップ機構が設定された。
組み合わされるミッションはCVTを中心に1.5Lエンジンを搭載した「RS」のみ5速MTを用意。駆動方式は2WD(FF)を中心に1.3L車にのみ4WDが設定されている。グレード構成はベーシックな「F」、装備が充実した「U」、女性向けの「ジュエラ」、スポーティな「RS」の4タイプ。


2014年4月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更とともに、1.3Lエンジンは高い熱効率を実現し、燃費性能が向上した新型に変更。同時に1L、1.5Lエンジンにアイドリングストップ機構を採用した。
続く2015年6月に行った一部改良では、衝突回避支援パッケージの「トヨタセーフティセンスC」を搭載し安全性を向上。そして2017年1月には2度目のマイナーチェンジを行い、内外装を変更するとともに、ハイブリッド車を追加した。
2018年5月の一部改良では衝突回避パッケージの「トヨタセーフティセンスC」が改良され、昼間の歩行者検知機能が追加されている。
注目度の高い変更について紹介したが、ヴィッツには数多くの特別仕様車も設定され、そのなかから特に話題の高かったモデルを紹介する。
まずは2013年8月に200台限定で発売された「GRMNターボ」。最高出力152psを発生する1.5L 直列4気筒ターボエンジン+5速MTを搭載し、専用のシャシー強化、サスペンションチューンを施したヴィッツきってのホットハッチだ。

そして2017年11月に限定150台で販売された「GRMN」。全長4mに満たないコンパクトなボディのヴィッツに最高出力212psを発生する1.8L 直列4気筒スーパーチャージャー付きエンジン+6速MTを搭載。ハイパワーなエンジンに対応してボディ剛性の高い欧州用の3ドアボディを採用するというこだわりだ。
シャシー補強をはじめ、専用チューンのサスペンション、トルセンLSDなどどんなシーンにおいてもドライバーの思いのままコントロールできるマシンに仕立てられている。それでは、最新の最終型ヴィッツの中古車事情を見てみよう。

■フルモデルチェンジの影響で一時値上がりも 現在は値下がり傾向
最終型ヴィッツの中古車の流通台数は約3850台。3カ月前の2020年6月時点が約4050台だったので、若干減少している。
流通している中古車の平均走行距離は、3カ月前の時点が約3.1万kmで、現在は約3.4万kmまで延びている。この動きにリンクして、中古車の平均価格の推移は3カ月前の約83万円から現在は約81万円とわずかな寝落ち傾向となっている。
さらに1年という長いスパンで平均価格の推移を見てみると、1年前の2019年10月時点の最終型ヴィッツの中古車の平均価格は約83万円で、その後中古車最大の需要期となる2020年3月にはこの1年間のピークとなる約89万円まで上昇。
この値上がりはフルモデルチェンジに伴い、在庫車が未使用中古車として市場に出回った影響によるものだ。その後徐々に値落ち傾向が続き現在の水準まで値落ちが進んでいる。
最終型ヴィッツの中古車の価格帯は約10万~約444万円と非常に幅が広い。300万円以上のプライスが付いている中古車はすべて限定150台で販売された「1.8 GRMN」。現在約6台流通しており、価格帯は約320万~約444万円。GRヤリスが登場したことで、今後相場に影響が出る可能性は高い。
同様に2013年に発売された限定200台の「GRMNターボ」を調べてみると、こちらは約2台しか流通しておらず、価格帯は約200万~約210万円とプレミアム価格にはなっていない。
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■ベストバイは1.3Lエンジン! お得な特別仕様車が狙い目
そして、流通している中古車のグレード構成を見てみると、最も多いのが約690台の「1.0F」で、最終型ヴィッツの最もベーシックなグレードでレンタカーなどに多く採用されているモデルだ。
続いて多いのが約480台の「1.3F」。そして約460台の「1.3F 4WD」となっている。現行型ヤリスはすべて3気筒エンジンとなっているが、静粛性や振動面などを考えると最終型ヴィッツはやはり4気筒エンジンを選びたい。なかでも燃費性能に優れた1.3Lエンジンがベストバイだ。
1.3Lエンジン搭載車でも、「F」と「U」そして「ジュエラ」の3タイプがあるが、快適装備の充実した「U」もしくは「ジュエラ」を狙いたい。
さらに中古車とはいえ、安全装備を重視して2015年6月の行われた一部改良で「トヨタセーフティセンスC」搭載車は最低条件としたいところ。これから長く付き合うと考えるのであれば、この点は妥協してもらいたくない。こういった条件で検索すると、最終型ヴィッツの中古車は特別仕様車を狙うのがベストだ。
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1.3Lの「Fセーフティエディション」「FセーフティエディションII」「FセーフティエディションII」「Fアミー」はFグレードをベースに安全装備を装着したモデルだ。1.3L車は駆動方式が2WDと4WDが選べるので降雪地でも安心だ。

年式が新しいので、中古車の価格帯は約70万円からとなるが、運転支援システムは後付けができない装備なので、購入後の満足度を考えるとしっかりと吟味してもらいたい。