エボVIIから第3世代へ
ベースモデルのランサーが2000年にフルモデルチェンジを受けて「ランサーセディア」となったことで、エボリューションのほうも2001年から第3世代への進化を果たした。
2001年2月に発売となったランサーエボリューションVIIは、それまでのランエボと違って「大人びた感じ」ともいえるデザインに変更。
また、AYCに加えてアクティブ・センター・ディファレンシャル(ACD)を新搭載している。
前後輪の差動制限を電子制御することで、フルタイム4WDでありながら小回りを利かせるセッティングにも変えられるようになったことで、その回頭性はさらに向上している。
だがランサーセディアベースゆえの地味なビジュアルのせいか、人気は今ひとつ。流通量は全国で17台とまあまあ多いものの、最安値は140万円前後。年式の割にはまずまず好条件と思える個体でも180万円前後から探せる状況である。
とはいえ、さすがに走行2万km台のRSは約400万円で、走行数千kmの博物館級物件は450万円となっているのだが……。
ちなみにこの世代で初めて登場した「オートマのランエボ」であるGT-Aは、筆者が調査したかぎりでは2020年11月現在、流通量ゼロであった。
さほど人気が高いわけではないが、「意外と狙い目」とはいえるのが次の世代、ランサーエボリューションVIIIだ。
2003年1月発売のランサーエボリューションVIIIは、当時のダイムラー・クライスラーから移籍したオリビエ・ブーレイが、俗に「ブーレイ顔」と言われる富士山型のフロントグリルを採用したことで不評を買った世代。
しかしMTは6速になり、制御トルク量を増やした「スーパーAYC」も採用されるなど、メカニズム的には好ましい進化を遂げている。
そして中古車の流通台数も、直近のランエボXを除けば最多となる全国17台で、やや人気薄なせいか、140万~310万円付近の「ランエボとしてはお安い価格帯」でも、まずまず好条件な一台を探すことができる。
そして2004年2月に発売されたランサーエボリューションVIII MRはギャランGTOから続くMitsubishi Racingを意味するMRのネーミングを冠したVIIIの熟成型で、ビルシュタイン製ダンパーや量産初のアルミルーフ採用により、約10kgの軽量化を果たすとともに、タービンがエボVおよびエボVIと同じ大容量タービンを採用(GSRとRS6速MT車のみ)。
エボVIII MRの中古車流通台数は11台で、VIIIと同様、お安い部類に入る170万~350万円。
もちろんかなりの好条件車には350万円ほどの高額なプライスタグが付くが、「ブーレイ顔」さえ我慢できるなら、なかなかの狙い目世代ではあるだろう。
そして第3世代の完成形であるランサーエボリューションIXは、VIIIと比べればやはり少々高めで、特に2006年8月に発売された4G63型エンジン搭載車としては最後のモデルとなるエボリューションIX MRは、400万~500万円という結構なお値段。
MRではない通常のエボIXは、220万~340万円あたりのゾーンがおおむねの相場。
完成度が高く、なおかつ「ブーレイ顔」から普通のシュッとした顔つきに戻った300万円前後のランサーエボリューションIXは、往年のランエボを中古で狙ううえでは「ちょっと高いが、総合的に考えればもっとも現実的な選択肢」だとはいえそうだ。
コメント
コメントの使い方