クルマを愛する者であれば、誰も一度は憧れたことがあるはずのスーパーカー。だがスーパーカーとはスーパーなカーだけあって、その車両価格は天文学的である。
いや天文学的というのは少々大げさだが、新車を買うとなれば3000万円、4000万円は当たり前であり、中古車を買うにしても、1000万円あるいは2000万円以上は必要となる場合がほとんどだ。
1000万円や2000万円というのは、筆者を含む多くの者にとってはそう簡単に拠出できるマネーではない。だが中古車検索サイトなどを覗いていると「妙に安いスーパーカー」を見かけることもある。具体的には「車両価格700万円のフェラーリ 360モデナ」などだ。
「……700万円なら無理すればなんとかならなくもないから、この際、無理しちゃおっかな?」などと思うと同時に、「いや待て待て! 買った後に地獄を見るかもしれないぞ?」と、冷静に思う自分もいる。
実際のところはどうなのか? 取材に基づく「激安スーパーカー購入後のリアル」を中古車事情に精通する伊達軍曹が解説していく。
文/伊達軍曹
写真/フェラーリ、ポルシェ
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■700万円のフェラーリ360モデナの中古購入後に待ち受ける試練とは
まずは冒頭でも申し上げたフェラーリ360モデナ。フェラーリ360モデナは、大人気モデルであった「F355」の後を受けて1999年に登場し、2005年まで販売されたV8ミドシップフェラーリ。
搭載されるエンジンは最高出力400psの3.6L、V8DOHCで、トランスミッションは6MTまたは6速セミAT(F1マチック)。日本仕様の新車価格は1758万~2026万円だった。
その中古車は1000万~1300万円付近が中心ではあるのだが、なかには車両価格700万円ぐらいの物件も散見される。
……700万円といえば高いは高いが、国産Lサイズミニバンの最上位グレードにフルオプションを付けるのと似たようなものといえば似たようなものであるため、「……いっそ買ってしまおうか?」とも思ってしまう微妙なプライスだ。
しかし結論として車両価格700万円クラスの360モデナは、購入後に地獄を見るのがほぼ明らかであるため、やめておいたほうがいいだろう。
もちろん何事も例外はあるので「絶対」ではないのだが、700万円級の360モデナF1は(言い忘れたが、このぐらいの値段で探せるモデナは6MTではなくセミATのF1マチックばかりだ)購入後、いきなり下記の事態に頭を悩ませる可能性がきわめて高いからだ。
●買った瞬間、F1マチックが逝く(修理代はおよそ60万円)
●買ってしばらくしたのち、タイミングベルトが要交換となる(交換費用はおよそ30万円)
●その他もろもろ、ほぼすべてが壊れる(修理代は算出不能)
結局のところ、安く買った分の金額をすべて修理代として吐き出すことになるのだ。
さらには、格安中古スーパーカーというのは「もともとの素性」が微妙ゆえに、どこかを直しても、また別の箇所が壊れて……といういたちごっこになる場合が多い。
そしてそれに嫌気が差して売り払おうとすると、今度は「修復歴有り」だったことが判明して二束三文でしか売れず、莫大な残債のみが残る……という、「考えうるすべての悪いこと」が起きてしまう可能性を明確には否定できないのが、700万円級のフェラーリ360モデナF1である。
もしもフェラーリ 360モデナを買いたいのであれば、おおむね1100万円以上の予算を用意したうえで「6MTの360モデナ」を探すべきだろう。
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