中古車販売の検索サイトを眺めていたら、とある異常があることに気付く。ATもラインナップされているスポーツカーの中古車相場を見ていると、MTの価格が異常と思えるほど相場が高くなっているのだ。
そういえば、新型ZにMTを搭載した理由を日産田村CPSは、中古車市場で販売されているスポーツカーのMT車の価格が高騰していて数が少ないということ、Zファンの間ではMTのファンが多いのでZにMTを残したと聞いた。
そう、国産、輸入車のスポーツカーのMTは、やはり自分の意志でクルマを操れるMTのほうがいいという人が多く、そして一度買ったら長く所有する人が多いせいか、なかなか市場に出回らないのだ。
ATはしっかり価格が出ているのに、MTの中古車はASK、価格応談となっていて、ASK=高騰していて手が出ない価格ですよと暗示しているかのようだ。
そこで国産スポーツカー、RX-7(FD3S)、初代NSX、80スープラと、輸入スポーツカー、フェラーリF355とポルシェ911カレラ2(964型)の5車種で、MT車とAT車の価格差がどれぐらいあるのか? また国産車についてはAT車をMTに換装する費用についても調べてみた。
文/柳川洋
写真/マツダ、ホンダ、トヨタ、フェラーリ、ポルシェ
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■マツダRX-7(FD3S型)/MTとATの価格差なんと500万円以上
2002年3月に発表されたRX-7「スピリットR」はRX-7史上、最も走行性能を極めた最後の限定車。5速MT、280ps、2シーターのタイプA、同じく4シーターのタイプB、4速AT、255ps、4シーターのタイプCの3つの仕様があり、1500台が発売された。
当時の価格はタイプAとBが399.8万円、タイプCが339.8万円。
全車にBBS17インチアルミホイール、レッド塗装のブレーキキャリパーとストラットタワーバーが装着されるレーシーな仕様。
加えてタイプAとBには大型のドリルドベンチレーティッドディスクブレーキやステンレスメッシュブレーキホース、ビルシュタインの専用ダンパーが奢られ、なかでもタイプAはレカロのフルバケットシートが装着されるという「超走り屋仕様」。タイプCは本革のバケットシートが装着される。
当然このようなクルマで低走行、ノーマルに近い車両で修復歴なしという個体を探すのは大変なのだが、それぞれ1台ずつありました。
■5速MT
・タイプB、2002年式、走行距離5.3万キロ、外装色ピュアホワイト、マフラーとアルミホイールのみ社外品のほぼノーマルに近い個体、支払総額1090万円。
■4速AT
・タイプC、2002年式、4速AT、走行距離5.8万キロ、外装色はスピリットR専用色のチタニウムグレーメタリック、支払総額590万円。
なんとその差500万円以上!
ちなみにMTのタイプBは、山陰地方のショップが極上車をオークションで仕入れ、Webに掲載してわずか数日で、他県のお客さんが実車も見ずに「お金今すぐ振り込みますので絶対売ってください」と連絡してきてあっという間に売れてしまったそうだ。
またATのタイプCは委託販売のクルマだそうで、もしかするとオークションにかかればこの値段では済まないかもしれない。
これだけ値段の差があれば、ATからMTに換装してしまえばいいかと思うが、そうもいかないらしい。純正のMTメーターを見つけるだけでもひと苦労、仮に見つけられても30万円から50万円はするだろうとのこと。
またCPUも機能させるにはMT車のものを持ってくるのが確実だが、それもほとんど見つからず、さらにはハーネスその他も全然出回っていないという。ノーマルに近い形でMTに換装するのはもう現実的ではなく、値段の問題ではないそうだ。
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