ハイブリッド、PHEV、EV、燃料電池車と、まさに世界の最先端をいく日本の自動車業界。
ところが、何気なく街中を走っているクルマをみると、だいたいのクルマは新しいのに(しかも汚いクルマは少ない)、タクシーだけ異様に古くありませんか?
時代錯誤に感じてしまったのは担当だけでしょうか?
クルマ好きなら、Y31セドリック、クラウンコンフォート、コンフォートが走っているとわかるのですが、衝突安全、安全装備、排ガス規制……、今の日本で走り続けていることが不思議に思えてなりません。
ということで、いまの日本、古いタクシーが走り続けている謎をモータージャーナリストの岩尾信哉氏が追ります。
文/岩尾信哉
写真/トヨタ、日産、ベストカーWeb編集部
■貴重な5ナンバーサイズのクラウンコンフォート、コンフォート、クラウンセダン
街中で見かけるタクシーに新たな車種が増えるとどことなく気分が盛り上がるのはクルマ好きの性かもしれない。過去にはタクシーといえばトヨタならクラウン、日産ならセドリック/グロリアのそれぞれセダンタイプと相場が決まっていた。
2014年の9月に生産中止、同年12月に販売終了したY31型セドリックセダン営業車は、基本設計は1987年まで遡る。
安全装備については、ハロゲンヘッドランプとABSぐらいしか見当たらず、ESC(横滑り防止装置)などが装備されないなどの問題が浮かび上がってくる。
いっぽうでクラウンセダン/コンフォートのタクシー車両(生産は1997~2018年)では少々事情が異なる。2013年10月に国土交通省が新型車では2012年から、継続生産車については2014年からESC(横滑り防止装置)を義務化したことに対応して、スタビリティコントロールとトラクションコントロールを追加装備した。
これに対して日産は、Y31型セドリックのタクシー仕様車に関して改良を断念して、事実上タクシー車両の生産・販売から撤退することになった。トヨタの新世代専用車両のジャパンタクシーに置き換わることで2017年5月末に販売は終了してその役割を終えたとはいえ、トヨタのタクシー車両の主役の座は揺るぎのないものとなったわけだ。
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