春になるとクルマのボディやフロント、サイドウィンドウにうっすらと黄色い汚れが付いていることがあります。この黄色い汚れには大きく2つの種類があります。ひとつは春の風物詩とも言える“スギ花粉”。スギ花粉は硬いものではありませんが、もうひとつの黄色っぽい汚れがあり、こちらは要注意。
それは“黄砂”。
本稿では、そろそろ増えてきた黄砂からクルマを守る方法をレクチャーします。
文/諸星陽一 写真/Adobe Stock、気象庁
【画像ギャラリー】黄砂はクルマの敵!黄砂の被害からクルマを守ろう
■黄砂はクルマの傷の原因に!?
日本に飛んでくる黄砂は、はるか彼方の中国内陸部のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠、黄土高原などの砂や粒子物質が風に乗って飛んでくるものです。サイズは0.5~5マイクロメートル程度と言われているので、かなり微細なものです。
砂漠の砂を触ってみると、公園の砂場の砂などとはまるで違って片栗粉のような感触です。実際には片栗粉は20~70マイクロメートル程度なので、黄砂はさらに細かいことになります。
その成分は石英、長石、雲母などで硫酸カルシウムも含まれているため、アルカリ性の性質を持っています。雲母はさほど硬い物質ではありませんが、石英はモース硬度で7とガラスを傷つけることができる硬さ、長石は6でナイフの刃がこぼれる硬さ(モース硬度10がダイヤモンド)です。
このため、そのままウエットティッシュタイプの汚れ落としで拭いたりすると、ボディやウインドウが傷だらけになる可能性があります。
■クルマを傷付ける原因物質は他にも…
また春は黄砂の影響がなくてもほこりっぽい季節です。冬は空気が澄んでいて遠くまで見通せるのですが、春は湿気が増えて視界が悪くなると同時に、畑に作物が植えられる前だと表土が乾きやすく、畑の土などが風に巻き上げられて飛んでくることも多いのです。
土は黄砂に比べれば硬度が低い物質が多いでしょうが、やはり花粉と同じようには扱えないやっかいなものです。
そうした場合のクリーニングはどうするのがベストなのでしょうか。
黄砂に悩まされるのは年に数度の割合ですし、経験をしている人はさほど多くないでしょう。しかし、日本では黄砂よりも悪条件下でクルマを使っている人達がいます。ここは、そういう地域でクルマを日常的に使い、防御になれている人たちの知恵を借りましょう。
黄砂よりさらに厳しい状況、それは鹿児島・桜島に代表されるような火山灰が降る地域です。火山灰は灰と言ってもその成分は植物の灰とはずいぶん違い、火山ガラスと呼ばれるガラス様の粒子が含まれています。火山ガラスは尖った形状をしているために、黄砂同様にクルマを傷つけるものです。
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