気分はフェラーリ! オートザムAZ-1現役オーナーが語る生証言と中古車事情

デビューから25年、パーツの供給は大丈夫なのか?

軽自動車ながらローシルエットの流線型ボディが特徴のAZ-1。全高はわずか1150mm。重量物をセンターに置くことで前後重量配分は44:56。サイドウィンドウにはチケットウィンドウと呼ばれる小さな手動式の窓が備わっている
軽自動車ながらローシルエットの流線型ボディが特徴のAZ-1。全高はわずか1150mm。重量物をセンターに置くことで前後重量配分は44:56。サイドウィンドウにはチケットウィンドウと呼ばれる小さな手動式の窓が備わっている

 だが、仮に愛とお金があったとしても、「部品」がないことにはどうにもならない。AZ-1の補修用パーツというのはまだ入手可能なのか?

 「持病なんかはネットで調べると出てくるので対策をしていますが、外装関連は全滅なので、破損しないよう、特に気をつけています。(ちゃんぷ♪さん。14万kmと19万kmの2台を所有)」

 「ここ1〜2年で純正部品の廃番がかなり進行していると感じます。自分はレンタル倉庫を借りて部品をストックしていますが、パーツ供給は正直かなり厳しいと感じています。例えばフロントガラスは純正が廃番で、社外品はあるのですが40万円近くするうえにあまり売れていないため、近い将来廃番になると聞いています。(前出・イーヨー先輩!さん)」

 「数年前から少しずつパーツは集めてはいるものの、確実に廃番は増えているのは事実なので、まだ出る新品や、中古でも手に入るパーツは集めておくしかないですね。(前出・くぼっちさん)」

 ……なかなか大変ではあるようだ。とはいえ全ての部品が入手不可能なわけではなく、

 「純正部品の新品が欠品は多くなってきていますが、流用や自作など、工夫すれば何とかなると思います。(前出・酒井義信さん)」

 「ない部品もありますが、バンバーやボンネット等は社外品がまだ入手可能なので、酷くない事故等でしたら大丈夫じゃないでしょうか。ガルウイングのトラブルはドアダンパーのヘタリとドアキャッチの劣化による半ドアぐらいかなと思いますが、どちらも部品の入手はできるみたいです。(前出・アナホル ガトーさん)」

 「年々部品が少なくなっていますが、ガルウイングのダンパー部分は社外品がありますので、今のところ大丈夫かと。(まっつんさん。走行19.4万km)」

 ということでもあるらしい。また、

 「水回りの修理時に出ないパーツがありましたが、作ってもらいました。(前出・まるさん)」

 「中古部品を使用したり、加工は伴いますが、他車の部品を流用しています。(おとんちさん。走行9.8万km)」

 「手に入らない部品もありますが、別車種のものを流用したり、汎用品でなんとかしたり。いろいろ調べてみる機会が増えたので、自然と知識が身につきました。(しまっちさん。走行10万km)」

 ということで、流用にてなんとか対処することも可能とのこと。

 とはいえ外装パーツは入手不可能なものも多いため、「事故に遭わないよう心がける。(前出・れっちゃーさん)」「事故に遭わないよう慎重に運転してます。(前出・たばとらさん)」という姿勢もかなり重要ではあるようだ。

現役AZ-1オーナーからの金言

フロントスペースには専用バッグが収納されている
フロントスペースには専用バッグが収納されている

 ここまでに現役AZ-1オーナー各位が証言してくれたことをざっくりまとめると、おおむね以下のとおりとなるだろう。

 「AZ-1というクルマを維持するには、『入手可能な部品が少なくなってきている』という問題は確実にある。だがそれ以外の点に関しては、その他の同世代の車=20~30年落ちぐらいのクルマを適切に維持する場合と、さほど大きくは変わらない」

 では最後に、そんなオートザム AZ-1という「ある種の名車」について、現役オーナー各位が思っていること、感じていることを語っていただこう。

 「AZ-1はクルマいじりの基本を学べる要素が多いクルマです。走りにおいてはピカイチで、たまらんぐらいサイコーのクルマです。『危ないクルマ』とよく言われますが、持ち主の運転技量が良くも悪くも特に出るクルマなので、本当に素直でいい子です。中古車相場が高騰しているのは残念ですが、興味をお持ちの方はぜひAZ-1乗りになってみてください。こんなクルマ、ほかにないです。(前出・酒井義信さん)」

 「真っすぐ走らないとか、すぐスピンする危険な操縦性であると書かれることもありますが、40台以上の車を乗り継いできて、N1レースにも参戦していたことがある自分がAZ-1を運転して、そんなことは一度も感じたことはありません。

 ただし中古で購入してメンテなしで乗ると、確かにまっすぐ走らないし、低ミュー路ではオーバーステアが出ることがありました。しかし抜けたショックを交換し、製造から5年以上経ったカチカチのタイヤを替えてアライメントを取れば、だいたい真っすぐ走りますし、弱アンダーの操縦性になります(ただしコーナリング中にブレーキ踏むとリアがブレークするのでこの特性だけ注意が必要と思います)。

 中古車を購入した際は初期化にある程度の費用をかけないと、真の楽しさは味わえないかもしれません。ライターさん(筆者注:伊達のこと)がもしもAZ-1に乗ったことがないのであれば、フルノーマルのAZ-1を1ヵ月ほどお貸ししますので、ぜひ乗ってみてください!(前出・イーヨー先輩!さん))

日常的に愛用しているからこそわかるAZ-1の魅力をオーナーのみなさんに語ってもらった
日常的に愛用しているからこそわかるAZ-1の魅力をオーナーのみなさんに語ってもらった

 「普通に街中を乗っていても楽しいし、持っていて良かったと思っています。室内は思ったより広く、買い物程度の荷物は助手席以外にも置けますので、実用性はあると思いますよ。(前出・まるさん)」

 「年々、自分の身体の老化のほうが気になり、以前のようにメンテナンスするのが面倒になっていますが、一生手放すことはないと思います。(おとんちさん。走行9.8万km)」

 「AZ-1は僕の人生を変えたクルマです。仕事に行く途中、とある方のAZ-1を見て、気になって調べて購入しました。そこからクルマへの興味が出て、あの日興味を抱いたAZ-1オーナー様直々にいろいろ教えていただき、先日仕事を辞めてクルマ整備の仕事に転職しました。若い自分が言うのも何ですが、それだけ大きな魅力を持っているクルマだと僕は思います。(前出・まっつんさん)」

 「いろいろいじり過ぎて負担がかかり、トラブルを起こしましたが、ノーマルでちゃんと普通の整備をしていれば大きなトラブルはありません。(き~にゅさん。1993年に新車で購入。現在18.7万km)」

 「このクルマなしの人生など考えられないほどの中毒性があるクルマです。もはや生活の一部でもあります。(前出・Chibimal SVさん)」

あるオーナーいわく、「持ち主の運転技量が良くも悪くも特に出るクルマなので、本当に素直でいい子」とのこと。素直な操作感でドライバーを病みつきにするクルマだ
あるオーナーいわく、「持ち主の運転技量が良くも悪くも特に出るクルマなので、本当に素直でいい子」とのこと。素直な操作感でドライバーを病みつきにするクルマだ

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 唯一無二の個性と成り立ちを持つクルマだけに、オートザムAZ-1という車には、Chibimal SVさんが言う通り“中毒性”があるのだろう。

 その中毒性について興味があるならば、ぜひ一度、中古車の流通状況をチェックしてみてほしい。そしてもしも購入したならば、諸先輩の経験を参考にしながら、大切に整備してあげてください。なんたって、オートザムAZ-1というのは貴重な“世界遺産”みたいなものですから!

オートザムAZ-1の中古車情報はこちら!


■オートザムAZ-1 主要諸元
●全長×全幅×全高:3295×1395×1150mm
●ホイールベース:2235mm
●車重:720kg
●エンジン:スズキ製F6A型直列3気筒DOHCターボ、657cc
●最高出力:64ps/6500rpm
●最大トルク:8.7kgm/4000rpm
●燃費:18.4km/L(10・15モード)
●価格:149万8000円(1992年式AZ-1)

ショーモデルAZ550スポーツ。ホイールベースは35mm短くリトラクタブルヘッドライトを採用
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スズキへのOEM供給車、キャラ
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