あ~やっちゃった! 真冬に絶対してはいけない「うっかり処置 あぶない運転」

 日本海側を中心に強烈な寒波が襲来し、記録的な大雪と猛吹雪に見舞われている。

 首都圏でも最低気温が氷点下になることが珍しくない時期が到来した。東北地方や北海道のクルマユーザーであれば、この時期ならではのクルマの乗り方として気を付けることは身体で覚えている方も多いことだろう。

 しかし、ちょっと雪が積もっただけで道路網がパニックを起こし、タイヤ専門店にスタッドレスを求めて殺到するような首都圏では、冬道に対してあまりにも脆弱なドライバーが少なくない。

 そこで寒波が襲来することが多い1月から2月にかけて、降雪時や路面凍結時のクルマの扱い、乗り方をモータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。


文/高根英幸
写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部

画像ギャラリー】寒冷地に向かう前に確認しておきたいチェックポイント


クルマに積もった雪を落とす時の注意点

フロントウインドウに積もった雪を安全に溶かすには、解氷スプレーと樹脂製のスクレーパーを使うのがオススメ
たった数時間クルマを停めておいたら、このように窓ガラスが凍結してしまった。こうなるとなかなか溶けないから厄介だ。この時の気温はマイナス2℃。フロントウインドウはデフロスターのスイッチを入れ、しばらくすると溶けていくが、サイドウインドウはなかなか溶けなかった


■凍った窓ガラスにお湯をかけて溶かすのはNG行為

 クルマに雪が積もってしまうと、まずドア回りの雪を落として乗り込めるようにして、エンジンをかけて暖房が効くのを待ちながら、ウインドウに積もった雪を落とすのが一般的な段取りだ。

 しかし最初に積もり始めた雪は、クルマの表面に凍り付いてしまって、剥がすことが難しい場合も多い。ワイパーも一緒に氷の塊と化していると、ウォッシャー液を使って溶かすこともできなくなる。寒冷地では降雪時にはワイパーを立てて駐車するのは、視界を早く確保するための生活の知恵なのだ。

 こんな時、急いでいると一刻も早く氷を溶かすために自宅でお湯を沸かして、それを凍った部分に直接注いで溶かしてしまおうとする人もいるようだ。

 極寒の地ではお湯もあっという間に凍ってしまうからまったく使えない手だが、実はガラスにお湯を直接かけてしまうのは、大変危険な行為だ。一部分だけを熱することで熱膨張するため、その周辺の冷えたガラスとの間で応力が生じて、ガラスが割れてしまう「熱割れ」が起こることがあるからだ。

 ワイパーや飛び石などでガラス表面には無数の傷がついており、熱膨張によりその傷からクラックが発生してしまいやすくなる。フロントウインドウは合わせガラスになっており、室内と外気の温度差が大きくなり過ぎると、放っておいてもクラックが入ってしまうこともあるほどだ。

 解氷スプレーをかけて、樹脂製のスクレーパーで掻き落とすのが安全で確実、手早く視界を確保する手段だ。そのための専用ケミカルなのだから、使わない手はない。購入しておけば何年も保管しておける製品なので、ホームセンターやカー用品店で購入してクルマに積んでおくといい。

400円前後で販売されている強力な解氷スプレー。いざという時に車載しておくことをオススメする


■鍵穴の凍結にも注意

鍵穴が凍ってしまった状態。いまやキーレスエントリーのクルマが多いので困ることはなくなったがキーレスエントリーのないクルマは要注意

 最近はスマートキーが主流で、リモコンドアロックを装備していないクルマなど、ほとんど存在しないから、鍵穴にキーを差し込んで施解錠する機会はほとんどないだろう。しかしスマートキーでもバッテリー上がりなどのトラブル時のために物理キーも内部に仕込まれている。

 気温が氷点下の環境ではボンネットを開けるために物理キーをキー穴に差し込んだ途端、表面の水分が凍り付いて取れなくなってしまうこともあるから注意したい。

 予防するためには鍵穴に解氷スプレーを吹いておくのが一番だが、もし凍り付いてしまったら電気が使えればドライヤー、もしくはお湯(熱湯は×)をかけて暖めれば、鍵は回り抜けるはずだ。

 また、万一、作動不良を起こすこと可能性のある電動リモコンミラーも畳まずに、そのままにしておいたほうがいいだろう。


■駐車時にパーキングブレーキをかけない

ワイヤーが雪の水分で凍り付く可能性があるため、寒冷地ではパーキングブレーキを引かずに駐車するのが原則

 駐車時にはパーキングブレーキを引かない、というのは寒冷地の冬のルールだが、それも最近は変わりつつある。首都圏でも路面の雪が凍り付いているような環境では、パーキングブレーキを掛けないで駐車するのが原則だが、これはワイヤー式のパーキングブレーキでの場合だ。

 最近は電動パーキングブレーキを採用したクルマも増えてきた。電動といっても、ワイヤーをモーターが巻き上げるタイプ(例えば初代リーフ)は同じようにワイヤーが雪の水分で凍り付いてしまう可能性があるため、引かないほうがいい。

 自分のクルマがどのような構造のパーキングブレーキか分からない場合は、自動車メーカーやディーラーのお客様相談窓口などに電話して訊いてみるといいだろう。


■降雪時の駐車場所に注意

塀や建物の奥は吹きだまりが発生しやすく、降雪時の駐車場所としては向かない

 降雪時は駐車場所にも注意したい。塀や建物の奥や角など吹きだまりになりそうなところに駐車すると、周囲は大して積もっていなくてもクルマが出せなくなるほど積もってしまうこともある。いつもなら安全に思えるような場所でも、降雪時は駐車には向いていない場所もあるということだ。


■LEDライトは要注意! 雪道での視界の確保!

LEDヘッドライトはライト内に熱がこもらないため積雪時にこびりついた雪が覆われやすい

 愛車のヘッドライトに省電力のLEDライトが装備されていたり、ハロゲンバルブから新車検対応に対応し、実用的な明るさをも獲得した市販のLEDバルブに組み替えている人も多いことと思う。

 もしそうなら、降雪地域にドライブする、あるいは首都圏でも雪が降り出した時は注意が必要だ。LEDライトは従来のハロゲンライトに比べてライト内に熱がこもらないため、降雪時にはレンズに付着した雪が溶けずにビッシリ覆われやすく、走行中徐々に光量が低下してくるからだ。

 このため、雪道の夜間走行時は定期的に停車してヘッドライトの雪を落とす必要がある。しかし、状況によっては凍り付いて簡単に落とせないことも……。

 そこで、万が一の際に備えて「解氷スプレー」を車載しておくことをおすすめする。また、目的外利用なためあくまで自己責任となるが、レンズ面にドアミラーの水滴付着を防止する「ミラーコート剤(蓮効果/ロータス効果で水滴を付着させないようにするケミカル)」を塗布しておくと効果的に防止できる。

 なお、都心でも水が凍るほど外気温が下がると、降雪せずともウインドガラスが凍結する。そんな状態でヘタにウォッシャー液を噴射させると、氷の膜は厚くなるだけで事態はさらに悪化するので注意。

 「解氷スプレー」の利用がもっとも簡単かつ確実な対処方ゆえ、そんな事態に備える意味でも車載しておくことをおすすめする。また、「ガラス撥水剤」を塗布しておくと凍結しにくくなるので、まだ利用していなかったなら買っておくのも手だ。

雪道を走行する際に気を付けなければいけないこと


■スタッドレスタイヤを履かずに雪道を走ったら道交法違反!?

2018年1月22日、都心部で4年ぶりに20cmを超える大雪が降ったが、その時にサマータイヤを履いたまま走り、坂道で道路を塞ぐクルマが目立った。写真はサマータイヤを履いたクルマを警察官が押している様子

 この時期になると思い出すのが関東地方に降った大雪。最近では2018年1月22日に都心でも20cmを超える大雪が降った。また同年2月には北陸地方でも大雪が記録され、その時は福井県にて道路上で取り残された人たちを救出するために自衛隊の出動要請も記憶に新しいだろう。

 特に関東地方の大雪では夏タイヤを履いたままのクルマが立ち往生を起こして極度の渋滞や事故を引き起こした原因とされている。

 というわけで、夏タイヤを装着したままで雪道を運転すると『公安委員会厳守事項違反』に該当し、反則金6000円(普通車)の罰則があるのだ。

 詳しく挙げると道路交通法第七十一条(運転者の厳守事項)の六項にて、“……中略、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項”とある。  

 よって、各都道府県の公安委員会による道路細則でスタッドレスタイヤの装着やタイヤチェーン等滑り止めの措置をしなければいけないことが定められているのだ(※沖縄県は除く)。

 積もらないだろうという安易な考えで、サマータイヤを履いたまま走るのは金輪際やめましょう!

 なお、国土交通省では2018年12月14日に「道路標識、区画線および道路標識に関する命令の一部を改正する命令の公布について~チェーン規制に関する改正~」が公布・施行されたのだが、それによると、タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行止め規制標識等の新設などが施行されている。

 スタッドレスタイヤでもチェーンを装着してなければ規制区間を通行することはできなくなるので、該当する場所を走る際はチェーンの装備が必要になるので注意してほしい。


■雪道では4WDだからといって過信してはいけない

 雪道をフルタイム4WDでスタッドレスタイヤを履いていると、ドライ路面と変わらないような安定感が伝わってきて、「4WDを購入して良かった」と再認識することもある。

 しかし気を付けてほしいのは、4WDはトラクション性能には優れていても、制動力はFFやFRなどの2WDと基本的には同じ。状況によっては2WDより劣る場合もあるのだ。全体的に4WDは車重が重めとなるので、制動距離では2WDよりも長くなってしまうことも多い。

 コーナリングに関しても4WDは安定性を感じ取れるから、限界が高いと思いがちだが、ステアリングを切りながらアクセルを踏むとタイヤのグリップが不足してアンダーステアになることも。

 舵角に大して旋回モーメントが立ち上がらないとESC(横滑り防止装置)が作動してくれることもあるが、雪道や凍結路ではそんな電子デバイスもお手上げなので、慎重に走ることを心がけたい。


■下り坂でのブレーキの使い方に注意

FF車でエンジンブレーキを使うとリアタイヤが滑り出すことがある。Dレンジのままフットブレーキを丁寧に使うことで、下り坂をより安全に走ることができる

 下り坂ではDレンジからシフトダウンして、エンジンブレーキを使うことでマイルドに減速させて車体を安定させようとするドライバーも多いが、FFでこれをするとフロントタイヤにのみ制動力が発生して、リアタイヤが流れ出すきっかけになってしまうこともある。

 特に下りのコーナーでは入り口や曲がりながらエンジンブレーキを使うと、リアタイヤが滑ってオーバーステアからスピンモードに入ってしまうことも。スタッドレスタイヤを履いたら、Dレンジのままフットブレーキを丁寧に使って走るほうが安全だ。


■排気ガスの室内への進入注意

しっかりマフラー付近の積もった雪をどかさないと大変なことになるので注意が必要

 冬は空気が乾燥しているので、エアコンを使わずヒーターだけで燃費をセーブしながら走らせているドライバーも多い。

 晴天時ならこれも問題ないが、雨天や降雪時、厳寒時には曇ってしまうこともあり、一度曇るとなかなか解消されない場合もある。降雪時には安全のためにエアコンを使用してフロントウインドウの曇りを予防するようにしよう。

 走行中ではなく、渋滞時など停車中の車内で待機している状況で、エンジンをアイドリングさせて暖房をかけているような状態では、排気ガスの室内侵入にも注意したい。

 雪により周辺との風通しが悪くなっている状態やマフラー出口付近が雪に遮られているなど、排気ガスがクルマ周辺に溜まりやすくなっていると、車内に排気ガスが入りやすく一酸化中毒を起こす危険もある。

 空調を外気導入にしているから、と安心せず新鮮な外気を導入できているように、窓を時々開けるなど換気にも気を配りたい。

寒冷地に出かける前の準備も重要だ


■ウインドウウオッシャー液は不凍タイプを使う

ウインドウウオッシャー液は不凍タイプを選ぼう

 ウインタースポーツを楽しむなど、クルマで寒冷地へ出掛けるのであれば、準備は十分に済ませたい。前述の解氷スプレーは何かと役に立つ。ドアのウェザーストリップに塗って、凍り付くことを防止することにも使える。

 ウインドウォッシャー液は不凍タイプや、氷点を確認して濃度を調整しておくこと。それとタイヤチェーンも用意しておきたい。

 スタッドレスタイヤは、雪道を走るための基本装備で、さらに積雪や凍結がひどくなると高速道路ではチェーン規制が敷かれることもある。そうなるとスタッドレスタイヤだけでは通過できなくなるのだ。

 峠道などはチェーン脱着場が用意されているところもある。まだ十分に走破できそうだからと、そこでチェーンを装着せずに通過してしまうと、その先は勾配や路面状態が悪くて立ち往生してしまうドライバーも出現する。

 それが原因で渋滞などが発生してしまうと目も当てられない事態になる。そんな状態でチェーンを装着するのも危険なので、チェーン脱着場があればその先の降雪状況などを調べて、なるべく脱着場でチェーンを装着するようにしよう。


■軽油は寒冷地のものを入れるべし

首都圏で給油した軽油を入れたまま、積雪地方に行くと凍ってしまう

 またディーゼル車は、首都圏以西で給油した軽油を入れたまま、寒冷地に到着してしまうと、軽油のワックス分が凝固して凍り、燃料系が詰まってしまうこともある。

 途中のガソリンスタンドで寒冷地用の軽油を足して、流動点を下げるようにすることが大事だ。

 元売り会社や高速道路のHPなどで調べれば、どこのスタンドでどんな軽油を扱っているか、わかるので3号軽油(流動点がマイナス20℃以上)を半分以上入れて目的地に到着するようにしたい。


■冬場に多いバッテリー上がりを防止

 首都圏ではまったく問題なく始動できていたバッテリーも、寒冷地の早朝に電圧降下で始動不能になることもある。2年以上バッテリーをそのまま使い続けているなら、出掛ける前にバッテリーの能力チェックをしてもらうなど、確認しておくことも大事だ。


■スタッドレスタイヤを総点検

プラットフォームと呼ばれる残り溝が50%になった際にトレッド表面に現れるサインが出るまでは冬用タイヤとして使い、50%以下となったらそのまま夏まで使用して使い切って廃棄するのが、スタッドレスタイヤの正しい使い方

 スタッドレスタイヤも3年も経つと、保管状態や摩耗、硬化などの劣化により氷雪性能が低下していく。トレッド表面のサイプ(細かい溝)の状態などを目視して、摩耗の程度と細かいヒビ割れなどがないか、ゴムが硬化して柔軟性を失っていないか確認しよう。

 最新のスタッドレスタイヤは4年経過後も9割程度のグリップ性能を保持しているものもあるが、これも使用状況や保管状態によっても左右する。タイヤ専門店ではゴム硬度計などを使って、劣化具合を測定してくれるところもあるので、シーズン前に相談してみるといいだろう。

【画像ギャラリー】寒冷地に向かう前に確認しておきたいチェックポイント

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