メルセデスベンツGクラスはなぜ唯一無二の存在であり続けられるのか

1000万円超の高級SUVが飛ぶように売れる神秘 メルセデスベンツGクラス大・研・究

 力強さとラグジュアリーさが同居する最強SUVといえばメルセデスGクラスをおいてほかにないだろう。

 日本では「ゲレンデバーゲン」の名前で親しまれ、終売の危機を救ったのも日本で人気だったからという話もあったりする。

 なぜここまで愛されるのか? その理由を大研究する!!!

●トピック
・なぜGクラスは日本の人々を魅了するのか?
・個性派揃い!!! Gクラスvsライバル ヘビー級SUVの華麗なる闘い
・憧れの1台をその手に!!! Gクラス 中古車購入大作戦
・【番外コラム】Gクラスにまつわる「噂」

●メルセデスベンツGクラス価格
・G350d(ハンドル・右)…1251万円
・G400d(ハンドル・左/右)…1289万円
・G550(ハンドル・左)…1705万円
・AMG G63(ハンドル・左/右)…2218万円

※本稿は2021年7月のものです
文/大音安弘、萩原文博 写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2021年8月10日号

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■なぜGクラスは日本の人々を魅了するのか?

●Gクラスは軍用車を民生用にして誕生

 SUVブームが巻き起こる遥か昔から、Gクラスは多くの人を魅了し続けてきた。

 日本では、ホストや芸能人御用達で人気が高かったことから、軟派なイメージが付きまとったこともあったが、その原点は、軍用車として企画された極めて硬派なクロカンである。

トップモデルのG63AMGは4L、V8ツインターボ(585ps/86.7㎏m)を搭載し、重量級SUVながら圧倒的な動力性能を誇る

 Gクラスこと、ゲレンデバーゲンは、ダイムラーベンツ(当時)とオーストリアのシュタイア・プフ(当時)の共同開発であったが、開発の中心は4輪駆動車を得意としたシュタイア・プフであり、生産まで請け負っていた。

 このため、一部地域では、「シュタイア・プフG」の名でも販売された。因みに、最新型Gも同じ工場生まれである。

 1979年に登場した初期型は、軍用オフローダーの民生版という生い立ちにふさわしい直線を基調としたボクシーなスタイル。洒落っ気とは無縁の内外装は、まさに質実剛健という言葉がピタリだ。

武骨なエクステリアデザインは昔も今も大きく変わらないが、インテリアは改良を重ねることで劇的に洗練された。高級感もあってオーナーの満足度も高い

 メカニズムも堅牢シンプルで、エンジンもメンテナンスに優れる直列式とし、排気量の小さい2.3Lの4気筒や2.7Lの6気筒ガソリン、3Lの5気筒ディーゼルなどの高性能ではなく実用的なスペックのものをチョイス。

 要となるシャシーには、前後リジットのラダーフレームに、前後手動デフロック付きパートタイム式4WDを組み合わせていた。

●新しくなっても基本理念は変わらず

 大きな転機となるのは、1990年の新型登場だろう。

 メカニズムでは、フルタイム4WD化がトピックであったが、もうひとつの命題は、高級車路線へのシフトにあり、ビジュアルも変化。ここでオーバーフェンダーとサイドステップを備えた馴染みのGスタイルが確立された。

 同時に簡素だったインテリアも乗用車ライクなものとなった。もちろん、海外では、従来の質実剛健な仕様も残されていたが、主軸は高級クロカンとしたのである。

スペアタイヤを背負ったリアビューは力強さの象徴。カバーはオプションでいろいろ選べる

 その流れを加速させたのが、1993年登場の限定車500GEと言っていいだろう。妖艶なアメジストブルーのボディには、パワフルな5L、V8ガソリンエンジンを搭載。特別仕様の内装には、贅沢なレザーシートが奢られ、仕上げレベルが高かった。

 その開発には、AMGも参加したとされ、その後の高性能Gの原点とも言えるだろう。メルセデスの高級・高性能と軍事用にも耐えるクロカン性能の融合は、既存の概念からするとまったく新しい高級車の誕生であった。

●ほぼ変わらない外観と激変した内装

 その後、幾重ものアップデートが行われたが、2018年の大幅改良まで、39年間も基本設計を変えることなく、生産が続けられた。

 2018年登場の新世代となる新型で全面刷新を図るも、引き続き堅牢なラダーフレームを採用。フロントこそ独立懸架としたが、後輪は悪路に強いリジットアクスルを引き継いだ。

4L、V8ツインターボ(写真)と3L、直6ディーゼルターボの2種類をラインナップ

 ビジュアル面では、初代のスタイリングを現代的にアレンジ。やや角は取れたが、Gらしさが最優先され、相変わらず、武骨さを前面に出したタフガイとした。

 その一方で、内装は一変。旧型もモダナイズされていたが、そのアップデートには強引な面もあり、チグハグな感じも漂っていた。しかし新型は高級SUVにふさわしいデザインと質感、機能を兼ね備えたものに磨き上げられた。

 それでも、センタークラスターの特等席に、デフコントロールスイッチが鎮座するのは、まさにGの機能美である。このように、全面的にGイズムは貫かれている。

●マジメなクルマ作りにユーザーが共感

 しかしながら、新旧Gクラスの乗り味は、大きく異なる。悪路走破性に重きを置いた旧型は、舗装路では他のメルセデスのような極上の乗り味とはいかなかった。

 特にフロントヘビーでパワフルなV8エンジン以上のモデルは、ジャジャ馬な印象が強まる。モデル末期に登場した1000万円のクリーンディーゼルG350dは、価格も魅力であったが、そのネガを抑えたトータルバランスのよさも美徳だったのだ。

武骨な外観は伊達ではなく、オフロード性能の高さには折り紙付き。高級なだけでなく道なき道を突き進むタフさが魅力

 ところが、オールニューとなった新型は、メルセデスらしい極上の乗り味に加え、運転のしやすさまで身につけてしまった。まさに無敵のGへと進化を遂げたのである。そう、新型Gクラスはコンクリートジャングルも制覇してしまったのである。

 まさに無敵のGクラスだが、その本質は、時代に左右されない本物志向にある。その真面目さが、多くの共感を呼び、「キング・オブ・クロカン」としての地位を今でも守り続けているのだ。

■主要諸元……全長4660×全幅1930×全高1975mm、ホイールベース2890mm、2490kg、直6DOHCディーゼルターボ、330ps/71.4kgm、9.7km/L、タイヤ:265/60R18(G400d)
■3L、直6ディーゼルターボ……G350:286ps/61.2kgm、G400d:330ps/71.4kgm
■4L、V8ツインターボ……G550:422ps/62.2kgm、AMG G63:585ps/86.7kgm

(TEXT/大音安弘)

■個性派揃い!!! Gクラスvsライバル ヘビー級SUVの華麗なる闘い

 いまだ冷めやらぬSUVブームの恩恵もあり、まさに高級SUVは選び放題だ。しかし、Gクラスのような本格的なクロカン志向となると、ライバルも自ずと限定される。

 最有力となるのは、新型ランドクルーザーだろう。そのフィールドは地球と評されるように、あらゆる場面での活躍が求められ、基本性能は極めて高い。特に新型は、運転のしやすさや疲れにくさを重視している点も見過ごせない。

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 しかし、本音を言えば、その先にある次期型レクサスLXへの期待が高まっている。日本では盗難率の高さでも有名なLXだが、それは同時に世界での人気の裏返しでもある。ランクル譲りの走破性に、レクサスの高級・快適性を備えるクロカンは、まさに理想のひとつだからだ。

 話を現在に戻すと、LXはモデル末期であるが、自然吸気の5.7L、V8によるトルクフルな走りが味わえること、その1点だけでも、LXを選ぶ価値は大きい。

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 コスパの高さなら、ジープラングラーが群を抜く。あの内容で500万円台からというのは、まさにバーゲンプライス。2Lターボに加え、伝統的な3.6L、V6も選べるのも嬉しい。作りは質実剛健だが、装備の不満もなく、メカメカしいデザインもクルマ好きの心をくすぐる。

 何よりも全仕様が着脱ルーフとなるのも、冒険心を高ぶらせる。それでいて従順な一面もあり、運転もしやすい。Gしか考えられない人以外には、最もお薦めできる一台。

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 新興勢力となるのが、復活を果たした新生ランドローバーディフェンダーだ。悪路走破性などのオリジナルの伝統を受け継ぎつつ、モノコックボディによる快適な走りも実現。生粋のクロカンでありながら、高速走行も得意とするので、かなりオールマイティな存在。

 サイズもデカいが、愛嬌あるスタイルで威圧感もない。内装はデジタル機能を押さえつつも、質実剛健な作り。そのノリは、ラングラーに近い。そのため贅沢さやスポーツ性能を求めるなら、レンジローバーとの比較が最適だろう。

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 ライバルと比較してみると、高級車、クロカン、スポーツの3要素に見事に応えられるのは、やはりGのみ。まさにクロカン界の万能選手なのだ。

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