■販売店利益はほとんどない? リース販売の裏側
各ディーラーは、メーカーから車両を購入し、ユーザーへ販売する。メーカーからの仕入れ価格に、販売店マージン(利益)を乗せた金額が、車両本体価格として設定され、1割~2割程度の新車販売利益を得ているのだ。(利益は車種、販売店によって異なる。)
この利益体系が、リース販売では大きく異なってくる。
一般に10%以上あると言われる新車利益だが、リース契約の場合にはディーラーの利益が数%まで下がるのだ。リースはユーザーからの値引き交渉に加えて、リース会社による値引き要請などがあり、ディーラーにとっては、あまりありがたくない販売方法なのである。
■旨みが無く、面倒な管理とメンテを押し付けられた、トヨタディーラーの今後は
今回bZ4Xに適用されるKINTOでは、車両の購入をリース会社(つまりメーカー)が行うため、メーカーからディーラー、ディーラーからユーザーへクルマが受け渡される際の、ディーラーマージンはほとんど無いと考えていい。(同時にユーザーへの値引きという概念もない。)
月額使用料の払込を受けるのもメーカー(KINTO)である。ディーラーの利益は、メンテナンスの際に発生する料金を、リース会社であるKINTOへ請求する程度となるだろう。
bZ4Xの車両本体金額はFWD車で600万円だ。一般的な販売方法であれば、台当たり100万円弱の販売店利益が発生する可能性があった。しかし、KINTO専用販売となることで、ディーラーの利益は、ほぼゼロに等しくなっている。
利益がほぼ無いというだけならいいが、ユーザーとKINTOが契約した後の、車両登録業務・納車・使用中のメンテナンスや管理などは、指定された販売店が全て行う。この点は、現金やローン購入の場合と同じであり、販売店(特に営業マン)への負担は増えるばかりだ。
bZ4Xが売れていき、ユーザーから希望販売店に選ばれれば選ばれるほど、仕事は増えるが利益は上がらないという矛盾を抱える。
メーカーにとっては、クルマが売れて、さらに確実な回収ができるという良いスキームだが、そのしわ寄せが、全て販売店に来ているように思うのは私だけだろうか。
bZ4XのKINTO契約に関しては、ユーザーから指定された販売店に対して「手当て」(販売店マージン)のようなものを支給して欲しい。さもなければ、今の厳しい販売店経営に、KINTOとbZ4Xが追い打ちをかけることにもなりかねない。
KINTOのような買い方の必要性は、今後大きくなっていくはずだ。だからこそ、メーカー・ユーザー・販売店が、それぞれWIN×WINの関係性でいられる仕組みでなければならない。KINTOの表向きではなく、裏側の仕組みづくりを、早急に進めてほしいと切に願う。
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