安全走行と環境保全のため、クルマを運転するドライバーには、2年ごと(新車は3年)の車検や法定点検のほか、日常点検も義務付けられています。運転免許を取得する際、多くの人が教習所でエンジンルーム内の点検を学んだかと思いますが、「メンテナンスはすべてディーラーやガソリンスタンドに任せっきり」という人も多いようで、なかには愛車のボンネットを開けたことすらない、という人も。
日常点検のうち、エンジンルーム内で確認すべきポイントを6つご紹介。教習所でも習ったことばかりですが、この機会におさらいしておきましょう。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_metamorworks
写真:Adobe Stock、写真AC、JAF
知識がない人ほど、点検を大事にしてほしい
平成29年、国土交通省が行ったアンケート「自動車ユーザーへ日常点検・整備の意識調査(対象985人、女性比率47.2%)」によると、日常点検の頻度は「よくする」が7.5%、「時々する」が27.1%、「まれにする」が34.9%、「全くしない」が30.5%。およそ70%の方が、日常点検整備を実施していることが分かりました。頻度は「月に一回」が49.8%、「1週間に一回」が12.4%、「2週間に一回」が10.3%だったようです。
ただ、タイヤの空気圧や溝深さ、亀裂、エンジンのかかり具合や異音がないかなど、車外からチェックできる項目は50%以上の方が確認しているようですが、エンジンオイル残量やバッテリー液残量、ブレーキオイル残量まで見ている方は30%前後と少なく、「日常点検をしている」と答えた方でも、エンジンルームを開けている方は少ないようです。
技術の進化により、近年のクルマは、昔ほどクルマのトラブルが多くなく、またトラブルが起きても、ロードサービスが充実しているため、クルマに対して知識や関心がある人以外は、エンジンルームを開けて日常点検をしよう、とはならないのもわからなくはないですが、そうした人ほど、クルマの異変に気付くことが遅れるため、しっかり日常点検をして、確認しておく必要があります。
知識がなくても点検はできる!!
近年のクルマのエンジンルームは、エンジンや補機がぎっしりと詰まっており、クルマによってはさらに、ハイブリッドシステムや先進支援装置、車体の剛性を上げる部品が装備されていることで、ひと昔前のクルマよりも、遥かに複雑になっています。
高級車になるとさらに、遮音のためのカバーで蓋をされているため、ボンネットを開けてもケーブルが一本も見えない、といったこともあり、ボンネットをあけても何が何だかわからずに何もできない、という人も多いでしょう。
ただ、今回ご紹介する点検項目は、すべて目視で点検できる項目ですので、クルマに詳しくなくても大丈夫です。なお、点検は走行直後ではなく、走行開始前、エンジンルーム内の温度が十分に下がっている状態でおこなってください。
・ウインドウウォッシャー液の量
視界の確保は、安全な運転をするために、もっとも重要な項目。良好な視界を確保するため、ウインドウウォッシャー液は常に切らさないよう、確認しておく必要があります。ウォッシャータンクからホースを引き抜き、ウォッシャー液がどの程度入っているかをチェックしましょう。ウォッシャー液はホームセンターなどに行けば、数百円で購入することができますし、単に補充するだけなので、不足していれば早めに補充しておくことをおすすめします。
・ブレーキ液の量
ブレーキ液が入っているリザーバータンクを見て、液面が上限と下限の間にあるかを点検します。ブレーキ液のリザーバータンクは握りコブシ程度のサイズで、運転席の前側あたりに設置されていることが多いです。減っていれば補充が必要となりますが、減っている場合は液漏れの心配もあるので、駐車している場所の地面にオイルが落ちた跡がないかも見ておきましょう。
・バッテリー液の量
エンジンのかかり具合(セルの回転早さや始動時の異音)のチェックとは別に、バッテリーの液面が上限と下限の間にあるかを点検します。またバッテリーによっては、上側に小さな丸い覗き窓がある種類もあり、その窓から見えるインジケーターで、液量のチェックができるものもあります。
・冷却水の量
冷却水が入っているラジエーターリザーバータンクを確認し、冷却水の液面が上限と下限の間にあるかを確認します。ラジエーターリザーバータンクの位置は車によってまちまちですが、内部には鮮やかなピンク色や緑色をしたクーラント液が入っていますので、見つけるのは容易です。
・エンジンオイルの量
オイルレベルゲージを一度抜き取り、付着しているオイルをウエスで拭いてから差し込み、再び抜き取ってオイルの量を点検します。上限と下限の間にあればOK。下限を下回っていたら、補充が必要なのと、ブレーキ液同様、漏れていないかクルマの下を見ておきましょう。オイルの色は、透き通った黄色や赤茶色であればOKですが、黒や濁った茶色であれば劣化しているため、交換が必要です。
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