今夏にいよいよトヨタの5ナンバーサイズミニバン、シエンタがフルモデルチェンジを迎える。対するライバルのホンダフリードは新型が今年中にワールドプレミアされ、2023年初頭から発売されるとみられている。
そんなトヨタとホンダの5ナンバーサイズミニバンでの争いと言えば、かつての初代ウィッシュと初代&2代目ストリームの仁義なき戦いを思い起こさせる。初代ストリームは7代目シビックをベースにこの市場を開拓した先駆者だったが、初代イストをベースにトヨタは初代ウィッシュで対抗。瞬く間にストリームからこのカテゴリーで盟主の座を奪い取ったのだった。
その後、ホンダは初代ストリームの2003年のマイチェンで「ポリシーはあるか?」と痛烈なキャッチを掲げてスポーティなアブソルートグレードを設定してトヨタをけん制し、2代目ストリームへのFMCにつなげていくのだが、当時の熱気について初代ストリームLPL&2代目ストリームのRADを務めた藤原裕氏に語ってもらおう。
文/藤原 裕、写真/ホンダ、ベストカー編集部
■初代ストリームはあのトヨタの開発ドライバー、成瀬氏曰く「素晴らしいクルマだ」
2000年10月26日、初代ストリームは、「新価値7シーター」のコンセプトで、21世紀に向けた7名乗車のクルマとしての新潮流の創造を目指して「新世紀を予感させる先進スタイル」、「パーソナルでも楽しめるスポーティな走り」、「快適で洗練された革新ミニバン空間」の3つのテーマで開発し、発表した。
今でも、思い出される話だが、ストリーム発表直後、COTYのカーオブザイヤー選考前夜祭の時、当時のトヨタの開発ドライバーのトップガン、成瀬弘さん(豊田章男さんのドライバー指導者)と初対面だったのだが、その成瀬さんから、「素晴らしいクルマだ」と言われた。たぶん、ストリーム発表後、トヨタは、ストリームを徹底分析していたのだろう。おかげさまで、その年の「カーオブザイヤー」に選出された。
ストリーム開発は、新型シビックの革新プラットフォームと2L新規パワートレーンの素材があったので、私はそれをベースに日本だけではなく、世界で羽ばたけるクルマを目指した。クルマの走行性能を上げるには、欧州市場をモノにすることが重要であると考えた。
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