■慌てず、ゆっくりと挽回
会社計画に盛り込まれた販売1台当たりのコストインフレにも大きな差異があります。
トヨタが16万円、ホンダ、日産、スバルは10万円強とかなりの幅があります。
トヨタは円安インフレに苦しむ国内サプライヤーを系列に多く抱え込んでおり、体力回復を考慮して、サプライヤーからの値上げ転嫁要請を飲み込んだ計画となっているようです。
目の前の収益に固執するのではなく、一旦、トヨタが約1兆円のコストギャップを受け止めます。サプライヤーの体質改善を優先し、慌てずゆっくりと挽回していけばよいという、トヨタらしい考え方と言えるでしょう。
もっとも、現在の為替水準が続くなら1兆円近くの為替メリットがこのギャップを飲み込む可能性もあります。
自動車産業は大変革の最中にあり、ロシア危機で一段と混迷が深まり、正解が見えない戦いが始まったばかり。今から皆が疲弊し、困窮することは本末転倒でしょう。
●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数
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