新型クロストレックが日本でも発表されたが、そのスタイリングは比較的おとなしかった先代XVに比べてゴツゴツした印象に。そのエクステリアにはブラックの樹脂製パーツがさまざまな箇所で装着されており、特に前後フェンダーに採用されている通気孔のあるクラッディングは特徴的だ。
こうしたブラックのフェンダーはほかにもRAV4のAdventureにも採用されており、SUVとしてのタフなイメージを演出するのに欠かせないパーツとなっている一方、スポーツセダンである現行型WRX S4にもこのクラッディングがついているのは賛否両論あるようだ。
そこで、樹脂フェンダーと樹脂バンパー、劣化して白くなるメンテのほうが気になってくるところなのだが、実際はどうなのか、その是と非について解説する。
文/高根秀幸、写真/高根英幸、SUBARU、TOYOTA、SUZUKI、MAZDA
■スタイリング上のアクセントとなる「クラッディング」
SUVの人気は衰えることを知らないようだ。そのため各メーカーともSUVのラインナップを増やしているが、すべてのSUVが同様に高い人気を得るという訳ではない。やはりデザインや機能で人気が分かれ、販売台数の多少にそれが反映されている。
そんななかで、SUVのスタイリングにおいてアクセントとして用いられているのがクラッディングと呼ばれるアイテム。もともとは外装材の総称らしいが、北米でこう呼ばれるようになったのが日本にも伝わったようだ。
クラッディングとはPP(ポリプロピレン)樹脂の素地仕上げのホイールアーチモールのこと。特に大型化されているSUVでは黒々としたアーチモールがアクセントとして際立っている。塗装せずに樹脂の素材感を強調することでワイルドな印象をより高めることができるのだ。
最近ではさらにエスカレートして、クラッディング自体を立体感のある造形としてアクセント以上の存在感を放つデザインへと仕立てているSUVも登場している。
■クラッディングを採用するメリット
このクラッディングを採用するメリットは、デザイン上のアクセントになるだけではない。無塗装だから製造コストが安いのも大きなメリットだ。SUVなど比較的低価格なクルマを実現するには製造コストも重要だから、非常に重宝するのである。
フェンダーアーチモールはそもそもサイドプロテクションモールと一緒にボディの塗装面を守る意味合いが大きかったアイテムで、クルマによってはオーバーフェンダー的な使い方もされてきた。
しかもPP樹脂はしなやかで強靭、射出整形での造形性は高く複雑なデザインや表面のシボも再現性が高いので、外装だけでなく内装にも用いられている。
外装では擦ってスリキズなどが生じても無塗装なので目立ちにくく、凹んでも復元するのでボディが大柄で未舗装路などを走行する機会の多いSUVには、まさに打ってつけの素材。しかも損傷が酷い場合も、クラッディングだけ交換できるようにしておけば、部品代も安く済ませられる。
無塗装ではない、ほかの外装パーツの場合、交換するとなるとボディカラーに塗装してから装着する必要があるため、交換費用がグンと跳ね上がるのでユーザーにとってもありがたい仕様なのだ。
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