愛車に備わっていること自体はなんとなく知ってはいるものの、具体的に使うシーンがあまりない、思いつかない……という装備が、現代のクルマには案外あるもの。日頃は意識していないけれど、使いこなせば運転がより快適になる機能や、いざという時に役立つ装備もあるだけに、この機会に知っておこう。
文/井澤利昭、写真/日産、写真AC
正しいドライビングポジションで操作性と快適性を両立「チルト&テレスコピックステアリング」
家族でクルマをシェアしている場合やレンタカーなどを利用する際、走り出す前に必要とされるのがドライビングポジションの調整。ほとんどの場合、シートの位置調整だけで済ます人が多いかもしれないが、ここでぜひ活用したいのが「チルト&テレスコピックステアリング」機能だ。
「チルト&テレスコピックステアリング」とはハンドルの位置調整ができる機能のこと。2つの機能を合わせた名称で、「チルト」がハンドルの上下の角度(高さ)、「テレスコピック」が前後位置と、それぞれをドライバーの体格や好みに合わせて変更することができる。
一部の車種を除く多くのクルマに備わっており、ステアリングコラムに設けられたレバーや、上位グレードの車種や高級車で採用される電動式では、ボタンひとつで簡単に調整することが可能となっている。
ハンドルのポジションをきちんと合わせることで操作性が向上するのはもちろん、リラックスした姿勢で運転ができるためロングドライブでの疲労軽減にもつながり、安全性も向上。愛車に「チルト&テレスコピックステアリング」機能が備わっているにもかかわらず使ったことがないという人は、一度試してみてほしい。
スポーツ走行以外でも案外使える!? AT車の「パドルシフト」
パドルシフトはMT車のようなシフトチェンジをAT車でも可能にするための装備。マニュアルモードやスポーツモードを備える走りが魅力のスポーティなモデルに加え、最近では一部軽自動車などにも採用されており、ハンドルの裏面に取り付けられたパドル(レバー)や、グリップ部分近くに配置されたボタンを操作することで、走りに合わせた任意のシフトポジションをドライバーの意思で選択できるようになっている。
約30年前、フェラーリのF1マシンで初採用されたセミオートマチックシステムに連動するカタチで誕生したパドルシフトは、数年後、同じくフェラーリの市販モデルへとフィードバックされ、現在では多くのクルマで採用されるポピュラーな装備に。その最大の利点は、ハンドルから手を放すことなく素早いシフト操作が可能な点にほかならない。
Dレンジで街中を走る際にはほぼ出番のないパドルシフトだけに、スポーツ走行をしないという人にはあまり縁のない装備と思われがちだが、エンジンブレーキを積極的に使用したいアップダウンの激しい峠道などを走る場合には案外便利なもの。
勾配やカーブに合わせた小まめなシフトアップやシフトダンをハンドルから手を放すことなく安全にできるため、キビキビとしたスムーズな走りをすることを可能としてくれる。
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