■キャスタートレールが充分に取れていないステルヴィオ
乗り心地はいい。荒れたアウトストラーダを走るイタリアンテイストですね。ロードノイズもよく抑えています。
フロントはクイックですばやく反応して、勝手に曲がって行きますが、対してリアは鈍く動き、踏ん張って支えている感じです。バッテリーの重さも効いていますし、これによりリアフロアの共振も抑えられています。
ゆっくり走りながら右へ左へと大きく操舵をすると……、なんとも唐突なクルマの動き方をします。あたかもスポーツFFのフロントとFRのリアを組み合せたような動きです。
フロントが軽量なFRプラットフォームにもかかわらず、フロントが重いFF車のような小さなキャスター角と少ないキャスタートレール&キャンバ変化量としたために、ハンドル操作時に、直進からの初期のタイヤ反力が軽く曖昧な感じです。
そこからハンドルを切り始めるとクイック(急激)な応答で初期の旋回を始めます。さらに旋回Gを上げ、サスペンション入力とストロークを増加していくと今度はタイヤ接地面の変化でステアリング反力が軽く、操舵のレスポンスも少し鈍くなってきます。
この結果、人によっては切り過ぎと修正を繰り返すような運転となってしまうのです。
このクルマの場合、マニアックなドライバーは、この唐突で面白い動きを「アルファらしいラテンテイストの味と面白さ」と感じ、楽しんで山道ドライブの走りができると思いますが、一方ドイツ車のような前後バランスの取れた安定した走りを求める、一般的な人にとっては「操舵の修正が多く、安心感のない、疲れるクルマ」となってしまう可能性もあり、極端に評価と意見が分かれる特性だと思います。
ブレーキの効きは少し曖昧です。踏力に対して段付きがあって、効きが一定ではありません。軽く踏んだ時の効きが甘く感じる一方、グッと踏み込むと急激に減速gが立ち上がってロックしてABSが作動する。これはコントロールしにくい。
ディーゼルターボは2.2Lの排気量から期待する「ドンとしたトルク感」はなく、普通にきちんと回っているマツダのディーゼルと同じような感じで、ベンツの2Lに排気量を落とした最新ディーゼルターボほどのトルクやレスポンスは感じられません。
■BMW X3は定番のSUVではあるが、後席の座り心地を犠牲にしている
もう、乗った瞬間にFRのプラットフォームを感じます。歩くほどの速度でゆっくりと走っても、舵の正確さがわかります。中立付近のピシッとした直進性があるため、まったくフラフラしません。
コーナリングでも操舵に対してタイヤの接地変化がないので動きが安定しています。前後のバランスもいいです。リアサスの動きが若干硬いとは思いますが、まあ、フロントの重量増とのバランスを考えればちょうどいいです。
以前のBMWのようにフロントがゆらゆら動いて、リアが踏ん張るという動かし方ではなくなりました。リアも適度に動かしてフロントとのバランスをとっています。これは気持ちいいです。
ちょっと乗り心地の面ではコツコツした入力を感じますが、スッと動きをいなしているためイヤな乗り心地ではなく、全体的に運転していてスポーティ感覚で楽しいです。
ブレーキは踏力に対し、効きが一定なのでコントロールしやすい。どの踏み込み量でも効き自体に変化は出ません。前後のバランスもよく、過剰なノーズダイブもなく、挙動を乱すことなくスッと止まります。
直6の3Lディーゼルターボはドカンとトルクが出るタイプではなく、とてもフラットでありながら充分なトルクがあり使いやすいです。やはりBMWはFRプラットフォームを作り慣れています。
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