日本ではすでに販売を終えたトヨタのFFサルーン、カムリ。中国現地では新型となる9代目カムリに切り替わって販売が継続されているのだが、今回試乗できる機会を得たので試乗レポートをお届けしよう。
文、写真:ベストカーWeb編集部・渡邊龍生
■日本では販売終了も北米と中国では新型を販売継続
新型カムリはご存じのとおり、日本には導入されず、北米と中国市場での販売となっている。2023年11月に開催された北米のLAショーでワールドプレミアされている。
その公開から遅れること2日、2023年11月17日開幕の広州モーターショー2023で新型11代目カムリ(中国では歴代9代目モデル)が発表され、会場では多くの新型カムリが広汽トヨタのブースに出展された。
そもそもカムリといえば何と言っても北米市場で2023年1年間だけで約30万台を売り上げている大ヒットモデル。その北米市場に次ぐのが2022年だけで約25万台を販売していた中国市場。
日本国内ではすでに2023年内で販売終了していたカムリだが、それが非常に惜しまれるくらい中国仕様の新型カムリの実車はカッコよかったのだ。
■スポーティグレードに注目!
そのフロントマスクは、最近のトヨタデザインのアイデンティティである「ハンマーヘッド」を採用。クラウンセダンやプリウスとも似通ったフロントデザインになっている。実際、北米市場向けのカムリと比べ、いざ実車を見てみるとそのカッコよさに圧倒された。
中国市場では「凱美瑞」の車名で販売されるカムリだが、歴代3代目モデルの途中から中国市場に導入されたため、2023年の広州モーターショーでは9代目モデルとして紹介された。
基本的に中国仕様の新型カムリは北米仕様のものと共通となる。そのボディサイズは全長4885~4905×全幅1840×全高1455mm、ホイールベース2825mm。先代モデルと全高以外はほぼ共通。
パワートレーンは2Lガソリン(最高出力172ps/最大トルク21.0kgm)と2Lハイブリッド(システム出力197ps)の2本立て。
また、中国国内での価格はガソリン車が17万3800~19万8800中国元(約350万~410万円)、ハイブリッド車が18万1800~20万8800中国元(約365万~420万円)となっている。実はこの値段、中国国内では先代モデルよりも大幅に価格帯が下がっているのだ。
個人的にはフロントグリルがブラックアウト化されたスポーティな「XSE」および「SE」グレードが特に気に入っている。フロントだけでなく、リアもブラックカラーの小ぶりなトランクスポイラーやリアディフューザーなどスポーティな雰囲気にうまくまとめられている。
また、インテリアではセンターディスプレイが北米仕様とは異なっており、ダッシュボード内に埋め込んでいた北米仕様と違って中国仕様はディスプレイが独立してレイアウトされているのが特徴となっている。
■う~ん、日本で販売されないのが惜しい……
今回、中国現地で試乗できたのは2Lハイブリッドモデルのスポーティグレード、「2.0S」。カムリというと、大らかな乗り味の室内がルーミーなセダンという印象があるのだが、こちらはやや足回りが硬めな印象。
車速を徐々に上げていくと、その足回りに見合ったしなやかな身のこなしを見せてくれる。FFサルーンとしての乗り味は思った以上に快適で、最初こそ硬めに感じた乗り心地はステアリングを握っている間、ドライバーの操作に忠実な動きを見せてくれ、大きな不満を感じなかった。
ただし、スポーツモードに関しては同じく中国現地で試乗したインスパイアPHEVほどの変化は見られなかったのが残念な点。それというのもカムリの場合はスポーツモードに切り替えてもさほどノーマル時からの変化が少なく、切り替えた際の演出などはインスパイアのほうがわかりやすく感じたからだ。
とはいえ、日本でのこのクラスのセダンはレガシィB4やティアナ、マツダ6など続々と姿を消し、残るはアコードのみ。中国市場ではセダンカテゴリーが支持を受けていることもあり、このカムリに加えてアコードにインスパイア、アルティマ(ティアナ)が選べるというのはセダン派としては非常に気になる……。
カムリらしいゆったりとした乗り味は新型でも健在。返す返すも日本での販売を終えてしまったのは個人的に惜しいと思う。
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