割り切ったコンセプトの後席
タフトを買うユーザーが、購入時にどのような車種と比べるかも尋ねた。
「最も多いのはハスラーだが、お客様によっては同じスズキのジムニーも検討する。またSUVの外観で選ぶお客様は、直線基調のタフトと、丸型ヘッドランプを備えたハスラーで好みが分かれることも多い。後席を畳んで荷室として使うお客様が多いこともタフトの特徴だ。スカイフィールトップや運転支援機能が、購入の決め手になる」と説明した。
後席を畳んで荷室として使う用途は、タフトのコンセプトにも関係する。
後席の色彩は、前席と異なるグレーになり、内側に装着されるリアドアハンドルのメッキも省いた。
後席にスライド機能は採用されず、座り心地は硬めで、座面の奥行寸法も短い。つまり前側は居住空間、後ろ側は汚れを落としやすい加工も施して、シートではなく荷室に使う割り切りが見られる。
また後席のスライド機能を省いたことで床の位置が下がり、十分な室内高を確保しながら全高は1630mmに抑えられた。少し低めのルーフは、外観をスポーティに見せて、低重心化により走行安定性を高める効果も発揮する。
ハスラーとの共存は可能
後席周辺の簡素化で、コストを下げたこともタフトの特徴だ。2WD・Xは、スカイフィールトップ、LEDヘッドランプ、電動パーキングブレーキなどを標準装着しながら、価格を135万3000円に抑えた。
ライバル車のハスラー2WDハイブリッドGは、後席のスライド機能などシートアレンジが多彩で、マイルドハイブリッドにより燃費も優れている。
その代わりルーフは普通のスチール性で、ヘッドランプはハロゲンになり、パーキングブレーキは足踏み式だ。それで価格は136万5100円だから、タフト2WD・Xよりも約1万円高い。
このようにタフトは、後席の座り心地とシートアレンジを割り切り、上級グレードも含めて、価格の割に装備を充実させた。
タフトの外観と価格はハスラーに近いが、商品特徴は異なり、選び分けと共存が可能だ。真っ向からの競争を避けたとも受け取られる。
ダイハツの新規ユーザー獲得戦略
新規投入車種のタフトを筆頭に、今のダイハツは新しい顧客の獲得に力を入れる。
ロッキーでも、トヨタ版のライズとは異なるソフトレザー調シート表皮を使った最上級のプレミアムを用意した。
このグレードは上質な軽自動車からさらに上級移行するユーザーの期待に応え、なおかつミドルサイズSUVからダウンサイジングしても質の低下を感じさせないためのグレードだ。
ロッキーはTV・CMも活発に放送して、ダイハツの小型車としては異例といえるほど堅調に売れている。
ロッキーに力を入れる理由を開発者に尋ねると、「軽自動車の規格がいつまで続くかわからず、小型車も堅実に売っていく必要がある」という。
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