充分満足できる……。今の日本車、そう思える半面、なにか「足りないものがある」と感じることはないだろうか。
コロナ禍で非常に厳しい局面ではあるが、いやだからこそ、ここではあえて「今の日本車たちに足りないもの」について、自動車評論家 国沢光宏氏が独自視点で斬る。
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※本稿は2020年8月のものです
文:国沢光宏/写真:TOYOTA、HONDA、SUZUKI、DAIHATSU
初出:『ベストカー』 2020年9月10日号
■ズバリ、今の日本車に足りないのは「明るさ&楽しさ」
わかりやすく書けば「明るさ&楽しさ」であります。ちなみにトヨタは除く。
トヨタの新型車を見ていると、どのモデルにも「クルマを楽しんでね!」というエッセンスを感じます。
だからこそヤリスクロスのようなクルマですらサーキットで何の制限もかけず試乗会やるし、GRヤリスはグラベル(非舗装路面)全開!
私が知るかぎりグラベルを全開で試乗させたクルマってパジェロ(当時の三菱自動車は楽しかったですよ)と、GRヤリス以外存在しない。
トヨタ以外のメーカーはサーキットやテストコースで試乗会を開いても、一部の例外(例えばGT-R)を除き、すべて「本当はやりたくないけど仕方なく」といったイメージ。
「パイロンで速度制限」や「先行車に続いての走行」に代表される制限をかけたら安全が担保できるかといえば、自分の運転技量に見合った走り方をしないドライバーなら、どの速度域だってリスクを伴う。
もちろんドライバーのスキルを選ばなければ、無謀ですけど。
■道具としてのクルマの「先」にあるもの
一事が万事だと思う。ここにきて「ホンダがつまらん」という声がたくさん出ている。出てくる車種を見ると、明るさや楽しさを前面に押し出しているモデルなし!
考えてほしい。クルマってイヤイヤ買う物じゃない。百歩譲って「純粋に移動の手段」を必要としているなら、中古車を含め、壊れず燃費よければ何でもいい。……となるとトヨタ車が最も安心だ。
何の魅力も打ち出せないクルマなら、トヨタに勝てないということになる。
トヨタに勝とうとすれば、個性や魅力や楽しさを強くアピールしなければならないのだけど、それも足りない。
新型フィットの広告や試乗レポートを見て、楽しさを感じる人っているだろうか?
■楽しい毎日を植え付ける
マツダ3やCX-30も同じ。むしろデザインしか考えてないクルマに感じてしまう。年内デビューといわれているホンダeや新型レヴォーグは元気いっぱいの楽しさをアピールしてくるだろうか? やはりクルマは明るさが大切。
といった点からすれば、軽自動車が本質を理解していると思う。タフトの宣伝など見るとワケワカランが楽しそう。
ハスラーの宣伝だって内容的に極めて薄いものの徹底的に明るい。このクルマ買ったら楽しい毎日があるかもしれませんね、と思わせる。
宣伝が暗いN-WGNは売れゆき伸び悩む。ルークスも機能のアピールを詰め込みすぎ!
軽自動車はタフトやハスラーくらい“中身カラッポ”でいいんだと思う。「明るくない」で共通する部分はお客さんの幸せを考えていない。そういうことだと思う。
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