新型コロナウイルスの影響でマイカーの価値が見直されている。そのなかでも中古車の売れゆきは新車に先駆けて復調し、6月以降販売台数は前年と同水準にまで回復。これには、比較的安価な中古車に注目が集まっていることが要因にあるようだ。
では、そんな手軽な価格の中古車のなかで今、お薦めできるのはどのモデルなのか?
自動車は登録から1年目のタイミングが最も値落ち幅が大きく、その後車検を迎える3年、5年目に下がる傾向がある。ここでは、最初の車検サイクルを迎えた3年落ちの2017年式の中古車から200万円以下で購入できるオススメのモデルをボディタイプ別にピックアップした。
3年で200万円以下というと、もともと価格の安いクルマしか買えないのでは? と思う人が多いかもしれないが、ボディタイプによっては驚きのクルマも手に入ることがわかった。それではまず、最激戦区のSUVから紹介していこう。
●ラインナップ
・SUV…トヨタ ハリアー(先代型)、マツダ CX-5、スバル レガシィアウトバック
・コンパクトカー…トヨタ スペイド、日産 ノート、スズキスイフト
・セダン…トヨタ カムリ、日産 スカイライン、ホンダ アコード(先代型)
・ワゴン&HB…トヨタ プリウス、マツダ アテンザワゴン、スバル レヴォーグ(先代型)
・ミニバン…ホンダ オデッセイ、日産 セレナ、三菱 デリカD:5
・軽自動車…ホンダ N-BOX、スズキ スペーシア、ダイハツ ムーヴキャンバス
・スポーツモデル…マツダ ロードスター、ホンダ S660、トヨタ 86
【画像ギャラリー】レヴォーグ ハリアー CX-5…人気モデルたちの中古車相場をギャラリーでクイックチェック!!!
※本稿は2020年11月のものです。中古相場や流通量などのデータは萩原氏調べ。流通量(★:30台以下、★★:50台以下、★★★:100台以下、★★★★:300台以下、★★★★★:300台以上)
文/萩原文博、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2020年12月26日号
■SUVモデルのオススメ3ベスト
まずはSUVから。2020年も日産キックス、トヨタハリアー、ヤリスクロスと続々とニューモデルが登場した。3年落ちで200万円というとコンパクトSUVが中心と思うかもしれないが、魅力タップリの3台を選んだ。
まずはフルモデルチェンジを行い、旧モデルとなったトヨタハリアーだ。中古車の総流通台数は3000台オーバーと豊富で、3年落ちの中古車でも最低価格は179万円となっている。旧モデルとなってもハリアー人気は健在なのがポイントだ。
続いてピックアップしたのは、2017年に登場した2代目マツダCX-5だ。CX-8、CX-30、MX-30と続々とマツダはSUVを追加しているので、現行型CX-5が登場してまだ3年と改めて驚いてしまう。最低価格は133万円で、流通台数は約1500台と非常に豊富でバリュー感が高いモデルだ。
そして最後はスバルSUVのフラッグシップであるレガシィアウトバック。ステーションワゴンスタイルのクロスオーバーモデルで新車時価格は300万円以上だが、3年落ちの中古車の最低価格は175万円を記録。流通台数は200台と少なめだが、大幅な値落ちは魅力。
そのSUV3モデルのなかからベストバイとしたのはCX-5。まだモデルが新しいうえ、パワートレーンの多彩なことがポイントだ。
■コンパクトモデルのオススメ3ベスト
続いてはコンパクトカー。2020年はヴィッツ改めトヨタヤリス、そしてホンダフィットが世代交代し、さらに販売競争が激化している。
ほとんどのモデルが200万円以下の価格設定だが、3年落ち200万円以下で購入できるお薦めの車種としてピックアップした3台は、まずはトヨタ スペイド。
左右非対称のドアを採用し、助手席側には大きな1枚のスライドドアを配置。助手席そして後席へ優れたアクセスが可能だ。またユニバーサルデザインを採用し、どんな人でも使いやすいのが特徴。流通台数は1000台を超えており、3年落ちの中古車でも50万円台から購入可能だ。
続いては日産ノート。発売開始から8年も経過しているので、中古車の流通台数は約6200台と非常に豊富。3年落ちならば、人気のe-POWERを搭載した中古車も狙えるので魅力アップだ。
そして、3台目は、2017年に登場したスズキスイフト。軽量・高剛性のプラットフォームを採用し、走行性能とともに安全性能に磨きをかけたモデル。スポーティグレードのスイフトスポーツも用意している。中古車の流通台数は約1500台でこちらも最低価格は50万円と割安感は抜群だ。
この3車種のなかでベストバイは、日産ノート。ただし、e-POWERを搭載したモデル限定だ。
■セダンモデルのオススメ3ベスト
昨年末のマークXに続いて、レクサスGSやシビックセダンが生産終了となり、ミニバンやSUVに押されて、セダンには逆風が吹いている。だからこそ、3年落ち中古セダンはオイシサが溢れているのだった。
その魅力ある車種のなかから選んだ3台は、まずはトヨタカムリ。現行型は2017年に登場し、初の車検サイクルを迎える3年落ちの中古車が豊富。
総流通台数も427台とセダンとしては非常に豊富で3年落ちの中古車の最低価格は176万円まで下がっている。新車時価格から50%の値落ち率は人気車種でも高い。
続いては2013年より販売されている日産スカイライン。販売年数は長いが総流通台数はカムリの半分以下の214台というのは寂しい。
その一方で3年落ちの中古車で200万円以下のプライスを付けているのはわずか2台でターボ車とハイブリッド車各1台ずつとなっている。
そして、最後はフルモデルチェンジを行い旧型になりたてのホンダアコード。オデッセイなどと同じ2モーターのハイブリッドシステムを搭載し、優れた燃費性能を発揮。
また、FFのパッケージを活かした広い室内空間も魅力だ。流通台数は119台しかないが、価格は安くて高性能なハイブリッド車のアコードこそ3年落ちセダンの魅力を凝縮したモデルといえる。
■ワゴン&HBモデルのオススメ3ベスト
セダン以上に斜陽なボディタイプといえば、ステーションワゴンだろう。国産車では車種数は激減。そのなかでもレヴォーグは2020年にフルモデルチェンジを行い、国産ステーションワゴンの灯を守っている。それを受けてステーションワゴン&ハッチバックのなかから3年落ち200万円以下のお薦め3車種として選んだ。
まずは現行型トヨタプリウス。2015年から販売された前期型はその個性的過ぎる外観デザインで人気急落。流通台数は3743台と豊富だが、3年落ち中古車の最低価格は早くも96万円と100万円を切って割安感は抜群だ。
続いては、現在は名称がマツダ6に変わったアテンザワゴン。マツダのフラッグシップモデルだが、7年間も販売されていたにも関わらず、流通台数は約300台。しかし3年落ち中古車の最低価格は90万円と魅力たっぷり。
そして2020年に世代交代したばかりの旧型レヴォーグ。流通台数は926台と豊富で、3年落ち中古車の最低価格は120万円と割高だ。これは国産ステーションワゴンのなかでは随一の人気モデルであることの証明といえる。
この3車種でお薦めはやはりプリウス。デザインは性能に関係ないと思えば、優れた燃費&走行性能を両立した現行モデルで100万円を切る価格があるのはオイシイ!
■ミニバンモデルのオススメ3ベスト
ファミリーカーの定番として安定した人気を誇るミニバン。ここにきて、日産エルグランドやホンダオデッセイがマイナーチェンジを行い、商品力をアップさせている。
そのミニバンのなかで、3年落ち200万円以下の中古車でお薦めの3車種としてピックアップしたのは、まずマイナーチェンジしたオデッセイ。販売開始から7年が経過しているので、流通台数は1731台と豊富で、マイナーチェンジを行った影響もあり、3年落ちの中古車の最低価格は179万円。値落ち率は50%を超えている。
続いては2016年に登場した日産セレナ。売れ筋のクラスなので、中古車の流通台数は2163台と非常に豊富。しかも3年落ち中古車の最低価格は97万円と100万円切りとなっている。
そして最後は唯我独尊系ミニバンの三菱デリカD:5。流通台数は1426台で、3年落ち中古車の最低価格は179万円だ。
この3車種のなかでお薦めはセレナ。残念ながら人気のe-POWERは選べないが、リアにデュアルバックゲートを採用するなど利便性の高い装備が充実していることがお薦めの理由である。
■軽自動車モデルのオススメ3ベスト
軽自動車の価格が高騰しているといっても、200万円オーバーの価格を付けているのはオープンカーのS660と主力のスーパーハイトワゴンの一部グレードのみ。ほとんどのクルマが200万円以下で購入可能だ。
そういった状況を踏まえて3年落ち、200万円以下で購入できるお薦めの中古軽自動車を3車種選んだ。
まずは、連続販売台数ナンバー1を維持しているホンダN-BOX。ホンダセンシングを搭載した現行モデルもすでに中古車の流通台数は5000台以上。最低価格は54万円まで下がっている。
続いても2017年に登場した軽スーパーハイトワゴンのスペーシア。こちらも流通台数は4733台と豊富。3年落ちの中古車の価格は80万円から。
そして最後は2016年に登場したムーヴキャンバス。女性をターゲットとした新感覚スーパーハイトワゴンだ。中古車の流通台数は2284台と少なめだが、最低価格は55万円からと割安感は高い。
この3車種のなかでベストバイに選んだのは、王道のN-BOX。買いやすさや、室内や走りの質感の高さを高く評価した。
■スポーツモデルのオススメベスト3
最後はスポーツカー。3年落ち200万円以下の中古車としてピックアップしたのは、トヨタ86、ホンダS660、マツダロードスターだ。この3モデルは流通台数も200台以上あり、200万円以下の手頃な中古車も豊富だからだ。
そのなかでもベストバイはロードスターとした。同じオープンカーのS660と悩んだが、S660はラゲッジスペースがないストイックさを減点とした。また、86と比べるとノーマル車が多いのもロードスターの魅力だ。
2015年まで年式の幅を広げれば最低価格は135万円で、100万円台で手に入れられる中古車も豊富。グレードではSスペシャルパッケージが中心となるが、わずかながら、よりスポーティなモデルのRSも流通している。
86は2017年式だと中古車相場は177万円から。S660の相場は150万円からとなる。流通量は86、S660ともにロードスター以上に豊富で探しやすいといえる。
【番外コラム】3年落ち・200万円以下輸入中古車おすすめナンバー1は?
国産車に対して、新車価格が高い輸入車でも、3年落ち、200万円以下で購入できる中古車をピックアップした。候補として残った3台はVWゴルフトゥーラン、ボルボV40、そしてプジョー308SWだ。お薦めの1台は、プジョー308SWとした。
理由は新車時価格が300万円以上のクルマながら、3年落ちの中古車が半値近い168万円から購入できること。そして燃費性能に優れたディーゼルエンジンも選べることだ。流通台数は少ないので、注意したい。