新型コロナウイルスの感染拡大が依然として続くなか、「密閉空間」をつくらないよう、換気にはみなさん注意されていることだと思います。
クルマの車内でも、当然のことながら、複数人で移動をするならば換気は必要。ですが、クルマの場合、寒い冬など気温や天候によっては、換気をためらってしまうこともあるかと思います。
真冬のコロナ禍において車の換気はどうすべきか? 本稿では、エンジニアとして自動車開発に携わった筆者の知見も踏まえて、その最適解を考えていきます。
文/吉川賢一、写真/HONDA、NISSAN、JAF
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■エアコンと外気導入でも換気はできる
クルマの場合、エアコンを入れておけば、車内の空気循環は自動的に行われます。さらに、「外気導入」にしておけば、外部の空気を取り入れたうえで、車内に循環させてくれるので、車内の換気をすることができます。
ちょっとうるさくはなりますが、筆者の経験上、外気導入の風量を全開にすれば、数分で車内の空気を入れ替えることができます。
(かつて開発中にガラスが曇らないよう窓全開でコースを走り回った際、こもった空気を短時間で入れ替えるにはデフォッガー使用よりこちらが圧倒的に早い、という結果になりました)
■換気の「早さ」はエアコンと窓開けの併用がベスト
「外気導入」でも窓を開けたときと同じように、外の空気を取り入れてくれますが、やはり外気を取り込む「速さ」は違ってきます。
寒い時期はよりわかりやすく、走行中に窓を開ければ、10秒もすれば車内にキンキンに冷えた空気が行きわたるのを体感できるでしょう。
例えば、車内にたくさんの人が乗っていて会話も弾んでいるなど、より素早く強力な換気をしたいときは、窓を開けたほうがいいかもしれません。
また、コロナウイルス関係以外でも、例えば、食べ物の匂いやたばこのにおい、ペット臭、口臭など、他の人にとって不快に感じる臭いを一気に取り去るには、この方法が向いているといえます。
「外気導入」は、車内に取り込んだフレッシュな外気をエアコンフィルターへ通過させ、空気中のホコリなどを取り除いています。
その後、エアコン機能を使っていない場合だと、エバポレーター(熱交換によって、空気を冷却、除湿する冷房装置、網目状になっている)を素通りした空気が、車室内に設けられたエア吐出口から出てきます。
エアコンを使っている場合だと、エバポレーターで冷却/除湿したあと、ヒーターコアで必要ぶんだけ加熱し、適温にしてから、車室内へ流しています。
また、最大風量でも車室内に空気を送り出すブロアの吐出量には限界があり、車室内騒音の原因にもなるため、風量を上げ過ぎることはできません(※1)。そのため、車外へ押し出される空気の量も、窓開けに対して少なくなります。
また、エアコンフィルターには、空気中の埃や塵を除去したり、なかには花粉にも対応したものもあります。「外気導入」は、外気を取り入れながらも、空気中の余計な異物を除去する使い方に向いています。
温度を調節してから、車内に放出しているため、外気導入でのエアコン使用は、「換気をしながらも車内は温かい状態」を維持できます。
よって、通常は「外気導入」で走行しつつ、車内の状況など必要に応じて、窓を開けての換気をする、というかたちで、外気導入と窓開けを併用する方法がいいのではないか、と考えます。
「外気導入」の外気の取り入れ口は、一般的な乗用車の場合、フロントガラスの付け根、ワイパー取り付け部付近の助手席側にあります。
この取り入れ口が汚れていると、車内に悪臭を取り入れてしまうことになるため、こまめにチェックすることをおすすめします。近くに小動物が糞尿をしてしまったり、溜まった落ち葉が、雨などで濡れていやな臭いを発生させる、という事例があるようです。
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