■将来的に莫大なコストがかかるエンジンが不用に
まずガソリンエンジンに代表される内燃機関からEVに切り替わった際、不要となるアイテムを挙げておく。
筆頭がエンジンでしょう。クルマの構成部品におけるエンジンのポジションたるや、極めて大きい。自動車メーカーの開発部門における人員規模は最も多い。正確に言えば生産設備への投資が莫大である。
量販車の場合、年間50万基くらいの生産規模を10年以上続けないとペイしないと言われているほど。EVになれば構造的に簡素なモーターへ置き換えられるため、コストダウン効果は絶大かと。
エンジンのほか、これまた巨額の投資を必要とするトランスミッションが不要になり、同じ役割を電気的に行うインバーターに姿を変える。
トランスミッションを独自開発したスバルのCVTやマツダの6速ATを見てもわかるとおり、年産70万台規模の自動車メーカーが10年くらい作り続けないと利益上がらない。
いっぽうインバーターは、たとえばプリウスで言えばすでに4世代目。どんどんコストダウンされていく。エンジン+トランスミッションのコストとモーター+インバーターのコスト、圧倒的に違う。
■そんなに簡単な話じゃない
車体側を見ると、パワーユニットが内燃機関からモーターになってもコストダウンできる要素は少ない。
しいて言えば安全性でエンジンルーム内に大きくて硬いエンジンを搭載しなくてよいため、いろんなアイデアも出てくるかもしれません。ただ大きなコストダウンになるかとなれば難しいと思う。衝突安全性には、物理的な対策が必要。
電子装備類も直近30年で大きく進化したけれど、コストダウンと反対方向へ向かってます。2021年夏から自動ブレーキを標準装備していないと認可されなくなっている。
自動ブレーキシステムを構築しようとすれば、センサーだけで済まない。ブレーキペダルを踏まなくてもブレーキの油圧を掛けるシステムが必要。10%のコストダウンすら無理。
サスペンションやブレーキに代表されるシャシーは、これまた安全に大きく関係してくるため、コストダウンする余地がほとんどないと思う。
もちろん最高速60㎞/hといった極端に速度の低いモビリティならば、ゴルフカートのような安価な構造を取れるだろうが、100㎞/h+αの速度域までカバーしようとしたら安くならない。
ブレーキすら高速域や長い下り坂では回生しきれないため、電気系がトラブルを起こした時のため現在と同じような容量の油圧ブレーキを必要とするだろう。
エアコンやAVのコストだって変わらない。
詳細に分析すると、安くなるのはエンジン+変速機分くらいになる。しかもEVを走らせるためには大容量のバッテリーが必要。
私はエンジン+変速機=モーター+インバーター+バッテリーだと考えてます。つまりバッテリーの価格が大幅に下がったとしても今のエンジン搭載車と同じくらいの価格になる、ということ。
それでもエネルギーコストが圧倒的に低いEVが圧倒的有利。繰り返すけれど60km/hくらいまでしか出ないクルマなら安く作れる可能性あります。
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