■三菱 ランサーエボリューションIV(1996年10月登場)
ランサーエボリューション(以下ランエボ)は1996年登場のIVで、第2世代のボディに移行した。ランエボⅣの大きな特徴はボディが変わったことに加え、一般ユース向けのGSRのリアデフが旋回性能を高めるAYC(アクティブヨーコントロール)となった点だ。
また、直4、2Lターボエンジンも前述したビッグマイナーチェンジ後のレガシィに続く2Lで280psに到達した(全長4330×全幅1690×全高1415mm、ホイールベース2510mm、280ps/36.0kgm、GSR)。
ランエボIVは一発のラップタイムこそ速かったものの、スポーツ走行に使うとエンジンのクーリングやAYCのトラブルなど、持久力に欠けるところも否めなかった。その意味では未完の大器ともいえ、V以降のランエボが日本最速車に仲間入りするプロローグのようなモデルだったともいえるかもしれない。
1996年式の中古車は原稿執筆時点で4台が流通しており、価格は178万~約300 万円とやはり高い。なお、ランエボIVは1997年式もあるが、中古車価格はコンディション次第という印象で、年式による差はあまりない。
●編集部コメント…2Lターボで280ps達成も偉大だが、ランエボ歴代最後の5ナンバー車なことに刮目。
■スバル 初代インプレッサWRX STiバージョンIII(1996年9月登場)
ランエボIVの登場に呼応するように、インプレッサWRX STiもこの年バージョンIIIに移行した(全長4340×全幅1690×全高1405mm、ホイールベース2520mm、280ps/35.0kgm)。
バージョンIIIは見た目こそバージョンIIからそれほど変わっていないが、前述のビッグマイナーチェンジされた2代目レガシィ同様にエンジンは280psにパワーアップされたのをはじめ(こちらは2代目レガシィのシーケンシャルツインターボに対し、シングルターボ)、フロントブレーキキャリパーの対向4ピストン化、トランスミッションの強化、競技ベースのRAではインタークーラースプレーにオートモードが加わるなどし、戦闘力を高めた。
なお、このあとランエボがVでワイドボディ化やブレンボブレーキの採用などにより劇的に戦闘力を高めたこともあり、初代インプレッサWRX STiも改良を重ねたものの、基本設計の古さもあり、速さではランエボに見劣りするようになった。
という意味ではバージョンIIIは初代インプレッサWRX STiの頂点となる存在ともいえるかもしれない。
1996年式というよりバージョンIIIの中古車は原稿執筆時点で1台しか流通しておらず(走行5万5000kmということもあり、1997年式で268万円)、1996年式のバージョンIIIはもう輸出されてしまったのかもしれない。
バージョンIV以降の価格は70万~480万円と幅広く、コンディション次第という印象だ。なお、バージョンIIIと同時に加わった2ドアのタイプRの中古車は348万円からと、やはり高い。
●編集部コメント…低速トルクの薄さが目立ったが、その分高回転域のパンチ力はエボⅣより上でした。
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