高速道路の「街路樹問題」 中央分離帯の植栽は必要なのか? 【清水草一の道路ニュース】  

高速道路の「街路樹問題」 中央分離帯の植栽は必要なのか? 【清水草一の道路ニュース】  

 クルマと道路は切っても切り離せないもの。交通ジャーナリストの清水草一が、毎回、道路についてわかりやすく解説する当コーナー。今回は、最近巷で話題になっている「道路の植栽」について考察する。

文/清水草一、写真/フォッケウルフ、ネクスコ・メンテナンス東北

■中央分離帯に植えられている木の正体

 『ビッグモーター』に関するニュースで、街路樹が大いに話題になった。公道上の植え込みに除草剤を撒いて植栽を枯らせ、勝手に伐採したのは違法だ。しかし、社の上層部から「落ち葉が一枚でもあったら0点」と言われたら、植え込みも街路樹もないほうがいい! と思ってしまうのが自然かもしれない。

 実は私も、高速道路に関して、同じようなことを考えている。それは、「中央分離帯の植栽はないほうがいいのではないか」というものだ。

 日本の高速道路には、中央分離帯に低木が植えられている区間がある。手入れせずに放置すれば走行の支障になるから、定期的な管理が必要だ。中央分離帯側の路肩は50cm程度しかないため、手入れするには車線規制が必要になり、それで渋滞が発生することもある。そんな時、「こんなの、なくていいんじゃないか」という考えが浮かぶのである。

高速道路の中央分離帯に見られる植栽。植えられているところとないところがあるが、あなたがよく走る高速道路ではどうだろうか?
高速道路の中央分離帯に見られる植栽。植えられているところとないところがあるが、あなたがよく走る高速道路ではどうだろうか?

 いったいなぜ、高速道路の中央分離帯に木が植えられているのだろう。それについてNEXCO東日本は、このように回答している。

1. 夜間、反対車線を走る車のヘッドライトの眩しさを防ぐ。
2. ドライバーに道路の線形(曲がっていく方向)を分かりやすくする。
3. 単調になりがちな走行景観に変化をつける。

 目的がこれだけなら、遮光板でほぼ代用できる。3の「景観に変化をつける」は、無機質な遮光板では難しいが、刈り込まれた低木でも、特段の変化は感じない。

 比較的近年開通した大都市部の路線は、中央分離帯に木が植えられていることはまれで、植物を植える場合も、遮光板形状の網につる性植物をからませるなど、手入れの簡単なものになっている。

次ページは : ◾️高速道路に緑が必要な理由とは?

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