コンパクトカー、セダン、ミニバン各カテゴリーの新燃費基準は達成可能?
現時点でWLTCモード燃費を表示している車種は少ないが、例えばデミオの場合、車両重量が1050kgの1.5Lガソリンエンジンを積んだ15CはWLTCモード燃費が19Km/Lにとどまる。
WLTCモード燃費の数値がJC08モードの85%前後になることから考えると、コンパクトカーの場合、JC08モード燃費に換算して、約32Km/Lの燃費数値が求められるだろう。
フィットのノーマルエンジン車ではこの燃費数値をクリアできず、JC08モード燃費が31.8~37.2km/Lとなるハイブリッドの領域に踏み込む。
1400kgのセダンが24.6km/L(JC08モードなら約29km/L)というのも、ハードルがかなり高そうだ。ハイブリッドセダンのインサイトは、車両重量が1390kgで、WLTCモード燃費は25.6km/Lになる。
セダンではなく5ドアハッチバックだが、カローラスポーツハイブリッドG・Zも、車両重量が1400Kgで、WLTCモード燃費は25.6km/Lだ。
つまり車両重量1400kgのセダンが、基準基準値の24.6km/Lをクリアするには、ハイブリッドやクリーンディーゼルターボであることが求められる。
車両重量1800kgのミニバンが21.1km/Lというのはどうか。ステップワゴンハイブリッドにはWLTCモード燃費が表記され、スパーダハイブリッドGホンダセンシングの車両重量は1790kgで、WLTCモード燃費は20km/Lだ。
ミニバンのなかでも特に燃費効率の優れたステップワゴンハイブリッドが、求められている21.1km/Lに達していない。これも相当にハードルが高い。
この新しい燃費基準値は、2030年度を目標年度としており、今後は電気自動車や充電可能なプラグインハイブリッドも燃費基準の規制対象に加えるという。
EV、PHVの新車販売の比率を2030年に20~30%に引き上げる計画は無謀?
また2018年(暦年)の登録台数を見ると、プラグインハイブリッドは約2万3000台、電気自動車は約2万6500台で、両方を合計しても小型/普通乗用車の1.7%に過ぎない。
経済産業省と国土交通省では、この比率を2030年には20~30%に引き上げたい考えだ。
見方を変えれば、プラグインハイブリッドや電気自動車の販売比率を増やさないと、燃費性能を32.4%に向上させるのは難しいだろう。
欧州でも二酸化炭素の排出規制が予定され、2030年の排出量を2021年に比べて37.5%削減するとしている。 2030年の目標に加え中間目標として2025年に21年比15%削減を設定した。
規制値をクリアできなかったメーカーは罰金が科せられる。1g超えるごとにその年に販売した新車1台あたり95ユーロ(約1万2500円)を支払わなければいけない。
そのため、欧州車にはプラグインハイブリッドが増えた。同様のことが日本にも当てはまる。
目標年度の2030年度は、11年先だが、今後のクルマ造りに与える影響は大きい。今はフルモデルチェンジは周期が長引き、短くても6年、長い車種は10年以上に達するからだ。
途中でマイナーチェンジを行い、燃費を向上させる機会はあるが、相当に速いペースで燃費性能を改善する必要がある。
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