各メーカーが鳴り物入りで登場させたクルマたち。しかし、そんなクルマのなかで最近売れ行きが冴えないクルマが……。発表当時は、多くの自動車媒体に取り上げられたし、現在も知名度は低くはずなのに、いったいどうしたものか!?
注目度が高かっただけに、そんな冴えない状況が目立ってしまうもの。今回は、そんな冴えないクルマから4台をピックアップ。渡辺陽一郎氏にその要因について迫ってもらった。
文/渡辺陽一郎
写真/編集部
■個性派ならではの悩みに直面|トヨタ C-HR
C-HRの1カ月の登録台数は、平均して5000台少々で推移している。ヴェゼルやアルファードと同等で、今の日本車のなかでは堅調に売れている部類だが、最近は冴えないと感じさせる。
その理由は、発売直後の2017年が絶好調に売れたからだ。2017年1~6月の登録台数は、1カ月平均で1万3200台に達した。小型/普通車市場の販売ランキング順位も、プリウスとノートに次ぐ3位であった。
ところが今の売れ行きは2年前の約40%で、小型/普通車市場の販売ランキング順位も2019年1~6月は15位だから、冴えないと感じさせるのだ。
C-HRの売れ行きが急落した原因は、クルマの性格によるところが大きい。外観に特徴があり、ユーザーの購買意欲を強く刺激する。こういったタイプは、クルマ好きが多く購入するから、愛車の車検期間が長く残っていても構わずに乗り替える。
その結果、発売直後に売れ行きが急増して、この後は反動もあって対前年比が大きく下がるのだ。2019年に入ると、同じトヨタからRAV4も発売されたから、C-HRはユーザーをさらに奪われた。
C-HRは外観が際立っていたから話題性も高く、いわゆる鳴物入りで発売された。こういったクルマの人気は、熱しやすく冷めやすい。どの車種でも、発売から時間が経過すると売れ行きを下げるが、C-HRは特に顕著だ。
(編集部注…C-HR苦戦の裏にはRAV4躍進がある、という記事はこちら)
■ディーゼルにこだわりすぎた|マツダ CX-3
CX-3は2015年に発売され、同年の登録台数は1カ月平均で約3000台だった。CX-5は約2300台だからCX-3が上まわったが、2016年に入ると、設計の古いCX-5を下まわるようになった。
CX-3の売れ行きが伸び悩んだ理由は、割高な価格設定だ。発売当初のCX-3は1.5Lクリーンディーゼルターボのみを搭載したが、価格は当時販売されていた先代CX-5の2.2Lクリーンディーゼルターボと比べて、30万円少々しか安くない。排気量の違いも踏まえると、実質的な価格差は20万円程度だった。
しかもCX-5は新型のCX-3に比べて値引きが多かったから、購入時の出費にはほとんど差が付かなくなってしまう。後席と荷室はCX-5が圧倒的に広く、動力性能も高いため、車内と荷室が狭くエンジン排気量の小さなCX-3は明らかに割高だった。
このあと、CX-3は2Lのガソリンエンジンを割安な価格で投入したが、遅きに失した印象が強く、今の1カ月の登録台数は1000台前後だ。CX-5は新型になったとはいえ、3000台前後を登録しているから、CX-3はコンパクトSUVの割に販売が低迷している。
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