アメリカの31倍 いま車の税を下げないと大変なことになる理由

アメリカの31倍 いま車の税を下げないと大変なことになる理由

他国に比べて日本の自動車関連税は高すぎる、という話は有名だが、2019年10月に消費税が10%に増税されるにあたり、このままこの「高すぎる自動車関連税」を放置しておくと、大変なことになる…と、自動車工業会が猛アピールしている。

状況や見通しを調べてみると、たしかにこれはえらいこっちゃ…という話なので、以下、喫緊の課題としてお伝えしたい。

なお本稿メイン写真は、先ごろ開催された「東京モーターフェス2018」にて、マツコ・デラックスさんとのトークショーで車体課税の減税を熱く訴えていた豊田章男自工会会長です。

文:ベストカーWeb編集部


■ここが日本経済の正念場

日本の自動車関連税は高い。

どれくらい高いかというと、アメリカの31倍という数字が一番わかりやすいのだが、「アメリカは国際的に見て安すぎる」という反論もあるかもしれないので、ドイツと比べて約2.8倍、イギリスと比べても約2.4倍高い…という状況を考えると、日本の自動車ユーザーが置かれている悲しい状況が理解しやすくなるだろう。

自工会が作成したグラフ。アメリカはさすがに安すぎるが(国として自動車産業を保護する狙いがある)、イギリスやドイツに比べても日本の車両保持にかかる税金が高すぎることがよくわかる

自工会が計算したところによると、1.8L、1.5t未満の乗用車を新車で購入し、年間1000Lのガソリンを使って13年間乗り続けた場合、その13年間に支払う税金は170万円4000円になるという。

ひゃ…170万円…。

これは「維持費」全体の話ではない。ガソリン代も車検費用も高速道路代も整備費も入っていない。

税金だけで(平均使用年数である13年間で)170万4000円支払うことになる。これは年平均で13万1000円となり、スマホ利用料がだいたい1年間で7万6000円だということを考えると、クルマ保有者はその2倍以上の金額を税金だけで払っていることになる。

景気が上向かず収入が上がらない。

安全装備や各種性能が上がってクルマそのものの価格が上がっている。

それは確かにそのとおりだし、それじゃクルマは売れなくなるよな…などと諦めていたわけだが、違った。いや違ってはいないけれど、ほかにも大きな要因があった。

クルマにまつわる税金が高すぎるのだ。

そもそも「クルマを持っているということはお金持ちなんだろう→お金持ちからはたくさん税金を取ってもいいだろう」という発想が続いており、それに文句を言わずに払い続けてきたことが現在の「高すぎる車体課税」を支えている。

そろそろ「いい加減に下げてくれよ」と言うべきタイミングではないだろうか。

2018年10月に開催された「東京モーターフェス2018」に寄せられた、「クルマの税金が高すぎる」、「もうちょっと税金が安くなれば買うのに…」というユーザーからの声

■マイナス2兆円、9万人の雇用減

今回、自工会をはじめとした多くの自動車関連団体が「いま自動車関連諸税を下げないと大変なことになる」と言っているのは、さらなる事情がある。

2019年10月には消費税増税が控えており、このまま自動車関連諸税が据え置きで消費税が10%となった場合、(反動の買い控えで)国内新車市場は取り返しのつかないダメージを受ける…という予測が各所から出ているのだ。

こちらも自工会作製資料。いよいよ国内新車市場が500万台を割り込もうとしており、そうなると産業構造そのものが変わる。減るにしてもこのカーブをもう少し緩やかにしないと、所得の低い人や地方ほど苦しむことになる

上記表は、これまでの国内販売の推移。

1997年に消費税が3%から5%に上昇した時は国内販売が約100万台減少した。2014年の5%から8%上昇時には約75万台減。

今回の8%から10%上昇では、約30万台の販売減が見込まれている。

ただでさえ危機的状況にある国内新車市場で、さらに約30万台減ると、経済効果はマイナス2兆円、9万人の雇用を奪う…というシンクタンクの予測も出ている。

日本経済の「底」が抜けてしまう数字だ。

先ほど「クルマを持っているということはお金持ちなんだろう→お金持ちからはたくさん税金を取ってもいいだろう」という(クルマを持っていない人によく見られる)思い込みについて書いたが、現実には、特に地方在住者、それも子育て世代にとってクルマは生活必需品であり、日本の車体課税はそうした層を苦しませ続けている。

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