トヨタカローラ誕生60周年記念イベントが11月1日に開催!! 世界累計5800万台超の名車がなぜこれほど長く愛されてきたのか? 3つの理由とは 

カローラのDNAは「お客様のために」! 歴代開発責任者が語った初代から受け継がれる熱い思い

カローラの歴史を振り返りながらカローラのDNAを語る、座談会が開催された
カローラの歴史を振り返りながらカローラのDNAを語る、座談会が開催された

 座談会第一弾は、「歴史を振り返りながらカローラのDNAを辿る」と題して、10代目、11代目カローラアクシオ開発責任者・奥平総一郎氏、10代目、11代目カローラアクシオ(海外向け)開発責任者・安井慎一氏、そして生産現場からは高岡工場車体部次長・中山等氏、高岡工場塗装整形部次長・川名雄二氏、高岡工場組立部次長・広瀬茂樹氏が登壇した。

 開発と生産、それぞれの立場から語られたのは、60年間にわたって受け継がれてきたカローラのDNAと、時代の変化に対応しながら進化を続けてきたモノづくりへの情熱だった。

10代目、11代目カローラアクシオ開発責任者・奥平総一郎氏
10代目、11代目カローラアクシオ開発責任者・奥平総一郎氏

 最初にカローラへの思いを語ったのは奥平総一郎氏。奥平氏は、2006年に10代目カローラを発売する際、初代カローラの開発主査を務めた長谷川龍雄氏と面会したエピソードを披露した。当時90歳だった長谷川氏は、カローラ誕生時の思いや開発の苦労について、熱く語ってくれたという。

 初代カローラが誕生した1966年は、東京オリンピックを経て日本経済が急成長し、高速道路の整備も進み、モータリゼーションが本格的に始まろうとしていた時代である。

 長谷川氏は、そんな時代の変化を見据え、「次の時代を変えるクルマを作りたい」という強い思いでカローラの開発に取り組んだ。

 その構想を実現するため、社内では何度も議論を重ねたという。そしてカローラの生産に向けて高岡工場が建設され、当時としては巨額の約300億円が投じられた。

 なかでも印象的だったのが、長谷川氏が大切にしていたクルマづくりの考え方だ。

 「すべての性能や使い勝手が80点というだけではダメ。それを備えるのは当たり前で、さらにお客様の心に訴えるプラスアルファが必要だ」

 つまり、単に欠点の少ない優等生を作るのではなく、誰もが魅力を感じる何かを持たせなければならないということだ。

 当時の日本車は、欧米メーカーに追いつき、追い越すことを目標としていた。長谷川氏もヨーロッパやアメリカのクルマを徹底的に研究し、世界に通用するカローラを目指した。

 その背景には、カローラ以前に開発されたパブリカが、優れたクルマでありながら市場への訴求という面で苦労した経験もあったという。

 さらに奥平氏は、長谷川氏が感動したというエピソードも紹介した。あるとき長谷川氏は、テレビでアフリカの人々がカローラを使い、医師を乗せて事故現場へ駆けつける姿を目にしたという。

 遠く離れたアフリカでも、自分たちが開発したクルマが人々の暮らしを支え、役に立っている。その光景に深く心を動かされたというのだ。

 世界中のお客様に支えられてカローラが成長してきたこと。そして、人々の幸福と福祉に貢献するクルマを作り続けること。

 奥平氏は、こうした初代からの思いが、世代を超えて受け継がれてきたカローラのDNAなのだと語った。

国内と海外で異なる全幅! お客様目線を貫いた開発の苦労

10代目、11代目カローラアクシオ(海外向け)開発責任者安井慎一氏
10代目、11代目カローラアクシオ(海外向け)開発責任者安井慎一氏

 続いて10代目、11代目カローラアクシオ(海外向け)開発責任者安井慎一氏が、グローバルモデルとしてのカローラ開発について語った。

 安井氏は2002年から約14年間にわたりカローラの開発に携わり、10代目、11代目、さらに12代目の開発途中まで関わってきた。

 その間、一貫して大切にしてきたのが、世界中のお客様の暮らしに役立つクルマを作るという考え方だった。特に印象深いエピソードとして紹介されたのが、国内向けと海外向けで異なるボディサイズの問題である。

 海外市場では、居住性や走行安定性などを考慮して幅の広いボディが求められる。一方、日本では狭い道路や駐車場での取り回しが重要となる。開発の際には、海外向けのボディを国内にも導入できないかという議論があったという。

 しかし安井氏は、実際にクルマを駐車場に持ち込み、ドアの開閉や乗り降りのしやすさを確認した。わずかな車幅の違いであっても、狭い駐車場ではドアの開き具合が変わり、日常の使い勝手に大きく影響する。

 全幅は海外では1780mm、国内では1740mmとしたが、社内ではボディサイズを巡ってさまざまな意見が出たというが、最終的に大切にしたのは、日本のお客様が毎日不便なく使えることだった。

 世界共通のクルマを効率よく開発するだけではなく、それぞれの地域の道路事情や生活環境に合わせる。これもまたカローラが守り続けてきた考え方である。

安井氏と”カローラハイブリッドジーンズ”
安井氏と”カローラハイブリッドジーンズ”

 また、11代目ではハイブリッド車の導入にも取り組んだ。当時はカローラにハイブリッドを設定することについても、さまざまな議論があったという。

 しかし、ハイブリッドの導入はカローラのイメージを変えるきっかけにもなった。安井氏は、木村拓哉さんを起用したCMなどにも触れながら、カローラをより幅広い世代に親しんでもらえるクルマにしたかったという思いを振り返った。

 時代に合わせて新しい技術や価値を取り入れながらも、お客様の使いやすさを最優先する。この姿勢は、60年の歴史のなかで変わることがなかったのである。

次ページは : プレス技術も塗装ロボットも大進化! 高岡工場が支えたカローラの品質

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