カローラスポーツのツートン塗装にも改善! 常識を疑うことが進化につながる
生産現場の改善事例として紹介されたのが、堤工場で生産されているカローラスポーツのツートンカラーの塗装工程だ。堤工場副工場長の馬淵晃氏によれば、従来、ツートンカラーを塗装する際には、塗装工程を2回通す必要があったという。
例えば、ルーフをブラック、下部をイエローに塗り分ける場合、最初の塗装を終えた後にマスキングを施し、再び塗装工程に投入する。
これでは通常の単色塗装に比べて工程が増え、生産に時間がかかってしまう。そこで現場では、品質を維持しながら塗装工程を1回にできないかという改善に挑戦した。
もちろん、簡単に実現できるものではない。塗料の塗り分けや仕上がりの品質を確保するため、マスキングテープの種類や貼り方まで細かく検討し、現場のメンバーが試行錯誤を繰り返した。
その結果、従来2回必要だった塗装工程を1回にする生産方法を実現したという。これは単なる作業時間の短縮ではない。品質を維持しながら生産効率を高めることで、より多くのユーザーにクルマを届けられるようになるという意味もある。
これまで当たり前だった作り方を疑い、もっとよい方法はないかと考える。こうした改善活動が、トヨタのものづくりを支えているのだ。
さらに技術やノウハウの伝承についても語られた。熟練者が培ってきた知識や技能を次の世代に伝える一方で、人材育成の方法や製造技術そのものは時代に合わせて変えていく。
守るべきなのは、ユーザーにもっといいクルマを届けるという基本姿勢であり、作り方まで従来のままである必要はないという考え方だ。こうした現場の改善と人材育成の積み重ねが、次期カローラの生産にもつながっていくのである。
終盤では、次期カローラに向けた開発・生産現場の思いが語られた。なかでも印象的だったのが、福島氏の「開発側と生産側は仲よく喧嘩している」という言葉だ。
開発側は理想とする性能やデザインを実現したい。一方、生産側には品質を安定させ、効率よく作り続けるという重要な役割がある。
それぞれの立場や考え方が異なるため、時には意見がぶつかることもある。しかし、目指しているところは同じだ。
それは、ユーザーにもっといいクルマを届けることである。互いに主張すべきことは主張し、必要な調整を重ねながら、よりよい完成形を探っていく。こうした開発と生産の緊密な関係が、カローラの進化を支えている。
次世代カローラはどう変わる? 60周年を迎えても進化は止まらない!
では、カローラはなぜ60年間も愛され続けてきたのだろうか。愛され続けた理由は、今回のイベントで見えてきた、カローラが代々受け継いできた3つのキーワード、「良品廉価」「変化」「プラスアルファ」である。
まず「良品廉価」とは、品質のよいクルマを手の届きやすい価格で提供するという考え方である。ただ安ければいいというわけではない。信頼性や耐久性、使いやすさを備え、多くの人が安心して乗れることが重要なのだ。
次に「変化」。これこそがカローラの60年を象徴する言葉といっていい。初代から続くセダンを基本としながらも、時代に合わせてワゴンやハッチバック、クーペなど多彩なモデルを展開。現在ではSUVのカローラクロスやスポーツモデルのGRカローラまでラインアップを広げている。
かつてのカローラと現在のカローラでは、ボディサイズも走りもデザインも大きく異なる。しかし、時代のニーズに応え続けるという姿勢は変わっていない。
そして3つ目が「プラスアルファ」だ。初代の「プラス100ccの余裕」に象徴されるように、ユーザーが期待する以上の価値を提供すること。それがカローラの魅力なのである。
実際、現行12代目ではTNGAプラットフォームの採用によって走行性能や乗り心地を大きく進化させた。かつての「実用的だけれど地味な大衆車」というイメージから、走りもデザインも楽しめるクルマへと変貌したのである。
さて、60周年という大きな節目を迎えたカローラだが、もちろん進化はこれで終わりではない。やはり注目は、60周年記念イベントでも展示された次世代の「カローラコンセプト」である。
現時点でわかっている新型カローラのポイントは、BEV、PHEV、HEVを同じプラットフォームに展開する新世代のマルチパスウェイプラットフォームを採用する1号機となるほか、コンセプトカーのように新型1.5L、4気筒エンジンと新世代ハイブリッドシステムを搭載することによって、低いボンネットで自由度の高いデザインが実現できるというメリットがある。
新型カローラはどうなるのか? メディアの囲み取材に応じた現開発責任者の福島徹氏は、
「カローラは他の車種にはない特徴として、世界150か国のさまざまな国に応じて最適な仕様を提供してきました。カローラは1つではありません。サイズ、パワートレインにしても1人1人取りこぼさない仕様を作ります。
もちろん、日本に合ったカローラを提供致します。初代カローラは他のクルマにはないスポーティさをプラスアルファとしましたが、新型カローラに関してもまだ言えませんが、所有した時に喜んでいただけるとプラスアルファを用意したいと思います。
そして、みなさんの少し先をいく、少し上をいくカローラでありたい。驚きをもって新型カローラを迎えていただきたいと思っています」。
かつてのように、誰もが気軽に買える価格を維持することは簡単ではない。それでも、カローラがカローラであり続けるためには、「良品廉価」という原点を忘れてはならない。
NHK番組では豊田章男会長から「新型カローラは良品ではあるけれども廉価なのか?」と問われたことに対して、福島徹氏は、
「良品廉価でなければ世に出ていかないクルマだと思っていますので期待してください」。
最後に、会場に来ていたカローラのファンイベントを主宰する「カローラフェスティバル」の代表である石川諒氏に話を伺った。
石川氏は現在30歳、現行カローラセダンを2021年に購入し、その後も2025年式カローラセダンに乗り換え、合計14万km乗り続けている。石川氏にとってカローラとは?
「カローラは凄くカッコいいクルマです。愛のあるクルマですし、居心地のいいクルマ、家族のようなクルマです。もっと多くの人に知ってもらいたいです」。
いまカローラは高齢者層のクルマだけではない。こうした若い世代、カローラクロスから初めてカローラユーザーになったファミリー層など、世代、個人個人によってカローラの定義が少しずつ違ってきた。
変わり続けることこそがカローラのDNA。60周年を迎えたカローラが、次の100周年に向けてどんな変貌を遂げるのか。2027~2028年にデビューが予想される新型カローラが今から待ち遠しい。
【画像ギャラリー】トヨタカローラ誕生60周年記念イベント「初代から歴代モデルのカローラ」を写真でチェック!(24枚)画像ギャラリー






























コメント
コメントの使い方