ベストカーの国沢光宏氏の連載『クルマの達人になる』。保育園などが採用する多人数乗車型の電動アシスト付きベビーカーが軽車両になる、という発表が経済産業省からなされた。
軽車両となれば原則として車道を通行する義務が発生するが……。国沢氏の徹底分析をお届けしよう。
文:国沢光宏/写真:Shutter stock
ベストカー2017年10月26日号『クルマの達人になる』
■電動アシスト付きベビーカーは人力車と同じ!?
経産省は「大型の電動アシスト付きベビーカーを輸入した場合、人力車と同じ軽車両になるため歩道でなく車道を通行のこと」というお触れを出した。
乳幼児を預かる保育所は激務である。坂の多い地域で多人数乗車のベビーカーを押すのって辛い。電動アシストが付いていれば、どんなに便利なことだろう。そいつを「販売するなら車道だぞ」とブッタ切ったワケ。
ちなみに日本にも電動補助付きの大型ベビーカーは存在していたが、現在販売を取りやめてしまった。なぜか?
平成27年に経産省が見解を出し「歩道を通行できる電動アシスト付きベビーカーのサイズは、それぞれ長さ120cm、幅70cm、高さ109cm以内に限る。
このサイズを超えたら軽車両」としたのだ。当時販売していた日本製の電動アシスト付き大型ベビーカーは幅が78cmあり、軽車両になってしまうから絶版としたそう。
ちなみにこのメーカーの電動アシスト付きベビーカーは現在も稼働中。経産省の発表により、車道を通行しなければならない。
本来、ベビーカーであればサイズに拘わらず歩道を通行できるハズ。今回の経産省の発表で皆さん不安になったのは「規格より大きいサイズになるとベビーカーでなく人力車になる」という判断。
人力車の場合、電動アシストなど関係なく軽車両だ。経産省の発表を見ると、このあたりがまったく書かれていない。明らかな説明不足。ということをネットのニュースで書いたら、どう判断したらいいか、カオスになった。明確な基準がないのだ。
■警察庁からの回答はいかに?
そこで経産省や国交省に問い合わせたところ両省ともに「ベビーカーになるかどうか決めたのは警察庁です。歩道を通行できるかどうかの判断も警察庁」という。
それじゃってんで警察庁の広報に問い合わせてみたら「フリーランスの質問には答えない。メディアを通じてFAXで質問をして欲しい。回答は最短でも一週間程度かかる」。乳幼児を預かる現場は迷っているのに一週間以上かかるとな!
やむをえず質問状を作っていたら、警察庁がNHKに対し、手押しのベビーカーについての見解を回答した。内容見てビックリ! 私の聞きたいことです。
引用すると「手押しのものは大きさに拘わらず、すべて歩行者と同じ扱いとなり、歩道を通行できる」。つまりベビーカーであれば70cmより幅広くてもOKという判断。
また、すでに使われている電動アシスト付き大型ベビーカーも手で押さないと動かないため、歩行者と同じ扱いになるということ。これなら安心。
さて。文頭に戻ります。輸入しようとしている電動アシスト付きベビーカーが、押さないと動かないタイプなら、幅広くても歩行者扱いになるということでもある。
現在、日本では電動アシスト付きの大型ベビーカーを売っていない。現場での労力低減のため、ぜひともオシャレで安全なベビーカーを日本でも運用できるようにして欲しいと思う。
経産省も幅70cmまでなら歩行者として認めるといってるが、幅狭いと安定性悪く危険です。
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