ミドシップに勝る!? 50:50はホントに理想的か? 重量配分の秘密を考える

FFでも高バランスになる秘密とは?

50:50はホントに理想的か? 重量配分の秘密を考える
コーナリング性能の高さには定評のあるスズキ スイフトスポーツ。FFレイアウトのためフロントヘビーだが、それを感じさせない操縦性にチューンされている

 最後に考えたいのはフロントにエンジンを搭載してフロントタイヤが駆動するFFだ。このレイアウトでは重量物がほぼすべてフロントに集中してしまうため、フロントヘビーになるのは宿命と言える。

 実際、スポーティなFFの筆頭に挙げられるスズキ スイフトスポーツの重量配分はだいたい64:36と言われていて、フロントヘビーであることは事実だ。

 しかし、操舵に加えて駆動も受け持つFFのフロントタイヤには適度な荷重が必要。加えてフロントが重いということは、コーナーで限界を超えた時にリアよりもフロントが先に滑り出すアンダーステア特性になるため、MRやRRと違って限界オーバー=即スピンにはなりにくく、その面では安全と言える。

 最後にFF車の重量配分に関するエピソードをひとつ。

 1970年代から活躍していた国内モータースポーツ史上で伝説的存在のH選手。すでに一線から退いているのでH氏だが、このH氏は技巧派でならしたレーサー時代の印象からFFのアンダーステアが嫌いとのことだった。だがある時、日産 ノートのe-POWERをドライブする機会があり、その操縦性に驚いたという。

 ノート e-POWERはフロントに発電用エンジンと動力用モーターを積むFFモデルだが、予想していたようなアンダーステアがほとんど出なかったとのこと。そこで調べてみると、たしかに動力系はフロントにあるものの、前部に置き場のないバッテリーは前側座席の下に搭載されていたのだ。

 これによってフロントヘビーは弱められ、結果としてe-POWERの操縦性は改善されていた。これこそまさに重量配分の妙と言える。

 今回はクルマが静止している状態での重量配分に注目したが、先に書いた通り走行しているクルマの荷重は常に移動している。ただしこれは運転の仕方やタイヤのグリップなどで大きく変化するので、走行中の荷重と静止状態の重量配分の関係については別の機会に考えたい。

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