■試作車のテストは始まっている
そこで方針を転換し、出てきたプランが見た目にもわかりやすいミドシップスポーツ、MR2の復活なのだ。同じ1.6Lの過給エンジンということもあり、イメージは初代AW11型の現代版。トヨタファンやトヨタの過去をよく知るインフルエンサーにアピールできるミドシップスポーツということである。
海外ではGRMNヤリスのミドシップ版のほうがインパクトは強いかもしれないが、部品の供給に限りもあってグローバルで売るほどの台数は作れない。また、そもそもの企画の狙いがGRヤリスの国内でのイメージアップということもあって、復活MR2を日本市場専用に作るという方針になったようだ。
エンジンはG16E-GTS型直列3気筒1.6Lインタークーラーターボ。
状況に応じて直接噴射とポート噴射を使い分けるD-4STシステムを採用する最新ユニットで、現在最も高出力のGRカローラで304ps/37.7kgm。このMR2後継では320ps/40.0kgm以上を狙ってくるだろう。マイルドハイブリッドも含めて電動化はない。
実は、当初の計画だったGRMNヤリスをベースにした2BOXタイプの試作車はもう完成しており、走行テストが始まっているという。
その後、デザインの方向性が変わったことで試作車も作り直す必要が生じているはずだが、トヨタにとって久しぶりとなるミドシップスポーツのテストは順調に進んでいると思われる。
まだ開発は始まったばかりでスペックの予想は難しいが、情報では「初代AW11型の現代版」という表現がなされていることからもわかるとおり、コンパクトなサイズになることは確実。
とはいえ、かつてのMR2の時代とは求められる性能や法規対応の種類もレベルも異なるから、ボディサイズや重量を同じように作るのは不可能。しかし、そのスピリットは継承するということだろう。内外装のデザインに、かつてのMR2へのオマージュが込められる可能性も高そうだ。
■「記念碑」的な意味合いもある
販売規模は明らかになっていないが、500台限定のGRMNヤリスのパーツを多用するだけに、こちらも少量生産になることは確実だろう。また、価格は1000万円レベルになるとも言われており、その点では往年のMR2とは立ち位置が大きく異なる。
情報提供者いわく「おそらく、これがトヨタ最後の純エンジンスポーツカーになる」ということで、もしかしたらトヨタにとって「記念碑」的な意味合いもあるのかもしれない。
そうであれば、限定数百台で価格1000万円レベルとなる可能性は高く、一般ユーザーには手の届かないクルマになりそうだが、そもそも今、本格的なミドシップスポーツがたくさん売れる時代でないのは明らか。
どんな方法でも開発、生産、販売するだけで大変なことだが、トヨタはそれを実現しようとしているというだけで凄いことではないだろうか。
クルマの電動化が加速しているだけに開発を急いでおり、目標は2026年のラインオフ。果たしてどんなクルマが現われるのか、興味は尽きない!
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