■気になる190クラスのウィークポイントは?
―W201を維持する上での注意とか、ウィークポイントがあれば教えてください。
郡司さん―エンジンは基本的に丈夫です。ただ、オイル漏れなどはあるので、丁寧に直していけば元に戻ります。あと、ヘッドガスケットが抜けてクーラントとオイルが混ざったり、原因不明でクーラントが減ることがあります。その場合はヘッドガスケットの交換とシリンダーヘッドのオーバーホールが必要で、費用はだいたい20万円くらいです。
―1980年代から1990年代のメルセデスはオートマとエアコンが鬼門というイメージがありますが、実際どうですか?
郡司さん―オートマは走り方次第で変わりますが、やさしく扱えば15万キロくらいは持ちます。修理は消耗部品だけならオーバーホールで大丈夫です。
ただ、オーバーホールキットがなくなりつつあるので、もし不安があるなら早めに決断したほうが良いです。エアコンで一番壊れるのはエバポレーターです。W201のエバポレーター交換は、ダッシュを外す必要がないので工賃は安いです。あとはコンプレッサー、コンデンサー、ホースなどが故障しますね。
―入手困難なパーツなどはありますか?
郡司さん―先日困ったのは、4気筒用のパワステの高圧ホースがなかったことです。ほかのパーツも在庫切れが増えていて、修理に不可欠な消耗部品が欠品になることもあります。
でも、部品が調達できないので乗るのを諦めてくださいと言ったことは一度もないです。ディーラーで入手できないパーツでも社外品などで直すことができますので、一度ご相談いただければと思います。
―社外品パーツのクオリティは安心できますか?
郡司さん―使用部位によっても性能が違うので一概にこのパーツが良い悪いということは言えませんが、共通して言えるのは、あまりにも安いパーツは品質もそれなりということです。安いと思って飛びつくと最初からダメだったり、あるいは耐久性が伴っていなかったりする場合があります。
■ズバリ!今オススメの190クラスは?
―オススメのモデルや年式はありますか?
郡司さん―当時の右ハンドル車は、W124後期ほどではないけど若干アクセルペダルが重いなどの違和感があるので、左ハンドル車が良いですね。
車両全体のバランスでいえば2リッターエンジンの190Eがベスト。ただし、超絶遅いです。190E 2.3も大して変わりません。年式では、運転席エアバッグが付いてウッドパネルの部位が増え、ドアミラーがボディ同色になった1992年モデル。それにパワーシートが付いて8穴ホイールを装着した1993年モデルがオススメですね。
―速さを求めるなら、コスワースが手がけた16V系の2.3-16と2.5-16になりますか?
郡司さん―16V系はタマ数がとても少ないので、程度と価格面で「これだ」と思う個体があれば早めに動いたほうが良いですね。エボリューションモデルのように、後で買おうと思ったらとんでもないことになってしまうこともあるので。
そこまで高性能を求めないなら、6気筒エンジンに16Vとほぼ同等の足回りを備えた190E 2.6スポーツラインもオススメです。6気筒なのでフロントの重さはありますが、足回りも固くなっているのである程度カバーできます。
街乗り主体であれば190E 2.6もありだと思います。乗りやすさでは低速トルクのある190D 2.5ターボがベストですが、自動車NOx・PM法で登録不可の地域もあるので、特に関東では難しいですね。
―16V系モデルにはハードルが高い印象がありますが、実際はどうですか?
郡司さん―普通のW201に比べるとスポーティな走りを楽しむ方が多いので、当然ながらすべての消耗が早いです。エンジンはみんなが言うほどセンシティブではないので、16Vでも優しく乗られている車両はトラブルが少ないです。
ただ、リアにハイドロニューマティック式の車高調整装置を使っているので、アキュムレーターは定期的な交換が必要です。あとはリアの車高を調整しているバルブの故障、リアのショックとハイドロポンプからのオイル漏れなどが発生することがあります。
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