フルモデルチェンジがこんなにも「逆に」話題になるのもちょっと珍しい。2020年11月に発表・販売開始されたホンダの新型N-ONEは、その見た目のあまりの“変わらなさ”が驚きをもって受け止められた。
プラットフォームを一新させたのに見た目変わらず。そこまでしてホンダが、N-ONEが守りたかったもの、そしてその一方で見落とされがちになってしまった、変わった部分・進化した部分とは?
自動車評論家 岡本幸一郎氏がスポーティーグレード「RS」に試乗、その感触をレポートしてくれた。
【画像ギャラリー】変わらなさに「らしさ」を込めて! ホンダ新型N-ONEをギャラリーでチェック!
※本稿は2020年12月のものです。試乗日:2020年12月9日
文/岡本幸一郎、撮影/平野 陽
初出:『ベストカー』 2021年1月26日号
■フルモデルチェンジなのにボディパネルをまるっと流用 一方内装は大幅に変わった
N-BOXを皮切りにNシリーズがスタートしたのは2011年のこと。
翌年登場した、ホンダ初の乗用車である往年のN360をモチーフにしたN-ONEは、当初はNシリーズ“顔”だったはずなのだが、2013年に初代N-WGNが出るや売れゆきは激減。
N-BOXやN-WGNが第2世代に移行してもそのままで、存続すら危ぶまれる状況だった。
それでも、この秀逸なデザインのクルマがずっと存在し続けられる手立てはないものかと個人的に常々思っていた。
むろん難しいのはいうまでもないが、デザインはそのままで中身だけ新しくして売ればよいのにと思っていたら、本当にそうなって驚いた(笑)。
それもフルモデルチェンジなのにボディパネルをまるっと流用するという前代未聞の奇策に打って出たのにはビックリ。
スチールの部分はガチでそのまま。
それ以外の部分が微妙にアレンジされていて、バンパーのボトム部分に踏ん張り感を与えたことでより台形フォルムが強調されたほか、上向きだったヘッドライトを正面に向けてサイズを大きくしたり、リアコンビランプがLED化されたりした。
一方、インテリアは雰囲気がだいぶ変わった。
必要なものを残してほかの部分を削ぎ落とす“ミニマル”をテーマにデザインされており、インパネはメーターの端まで一体感をもたせて伸びやかな広さを演出している。
形状の工夫により助手席側は脚が組めるほどの広さを確保。セパレートタイプになったシートの着座感も上々だ。
筆者(身長172cm)が座ると、後席の頭上はコブシが縦には入らないが横なら入る隙間があく。ニースペースも広々としている。
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