10月23日、東京モーターショーにてマツダは初の量産EVを発表する。
2020年に発売を目指すそのEVは、発電を担うロータリーエンジン(以下:RE)レンジエクステンダーの搭載も予定されている。2012年に生産終了したRX-8以来のRE搭載車だ。
しかしREファンは、『発電用エンジンでしょ』と思うかもしれない。だが、限られた情報からREレンジエクステンダーを考察してみると、マツダの壮大なプランが見えてきた。
文/濱口康志(ロータリーエンジン研究家)
写真/MAZDA、編集部
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■発電用だけどロータリー復活! その中身は!?
8月末、ノルウェーのオスロにて開催された『MAZDA GLOBAL TECH FORUM 2019』で、新型REレンジエクステンダーが公開された。
REは、高出力で軽量・コンパクト、往復運動がなく吸排気バルブも持たないためエンジンの静粛性が高い。効率のいいエンジン回転数で定常運転できるレンジエクステンダーに最適である。
そのREレンジエクステンダーについて、詳細なスペックは今のところ未公表だが、ユニット画像をもとに推測してみたい。
RE本体は横置きシングルローターで、ジェネレータ、駆動モーター、インバーターなどと一体型ユニット。
REの出力特性を決める吸排気ポートは、サイドハウジングに設けるマルチサイドポート方式で、確認できる限り、吸気ポートは1ポート、排気ポートは2ポートとなっている。
燃焼を終えたガスは、ふたつの排気サイドポートから排出後ひとつに集合し、三元触媒を通って車両下面から排気される。
燃料噴射方式は、直噴ではなくポート噴射式。RE特有のガスシール潤滑装置もRX-8後期型と同じ3本ノズルE-MOP(電磁式メタリングオイルポンプ)が採用されており、ユニット構成は全体的にRX-8の13Bとそう変わりはなく見え、かなり手堅い印象だ。
しかし、目新しいところが見当たらないわけではない。
特徴的なのは点火装置。一般的なダイレクトイグニッションのスパークプラグ点火ではあるが、従来までの2プラグから1プラグになっている。REの細長い作動室形状を1プラグでいかに燃やしきるのか、気になるところ。
シリンダーブロックにあたるエンジンハウジングもすべてアルミニウム製に見える。エンジン内部のローターやアペックスシールなどREの要となる部分も新素材によって軽量化やフリクションロス低減を狙ってくるだろう。
さらに、この新型REレンジエクステンダーで最も注目したいのは、エンジンサイズである。
REらしくコンパクトではあるが、プラットフォームに収まった様子は、搭載方法が異なるが以前のREレンジエクステンダーより大きい。では、なぜ大型化を選んだのか?
第一に、このレンジエクステンダー用REを使ってPHEVやシリーズハイブリッドへの発展性も見込んでいるため、より高出力のジェネレータに対応できることを想定していること。
そして、REが持つ水素、LPG(LPガス)やCNG(天然ガス)などガソリン以外の燃料への適応性の高さから、将来的に燃料の多種化が進んだ時の対応を見越していること。特に水素で出力を得るには大きな排気量があったほうがいい。
そこで、排気量を推測してみた。プロトタイプEVのベース車両となっているCX-30のエンジンルーム実寸法を測って、ローターハウジング幅(レシプロでのボア相当)を算出してみると、あるREと同じ寸法であった。
そのREとは、2007年に公開された次世代RENESIS 16Xだ(単室容積800cc×2ローター)。
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