FFと4WDが幅を利かせているイマドキのクルマ。でも、運転していて楽しいのはやっぱりFRでしょ! だったら、中古でもいいからFR車を探すべき。ということで、ここでは比較的お手頃な国産モデルを紹介していこう。
文/FK、写真/トヨタ、日産、マツダ
■新車発売時は到底買えなかったあのモデルが、今だったら楽勝で買える!?
クルマの前方にエンジンを搭載して後輪を駆動させるFR車はその構造上、FF車と比べると室内や荷室を広くすることが難しいデメリットが存在する。
しかし、そのデメリットすら超越するよさがあるからこそ、今でも根強い人気を誇るFR車。
その理由は前後の重量バランスに優れていることや駆動輪と操舵輪が異なることから旋回性能や操縦安定性が高く、ドライブしていてとにかく楽しさを味わえるから。
そんなこともあって一世を風靡したFR車だが、現在はすっかりFF車や4WD車に押されて激減。しかも、新車で買えるFR車となると軒並み高級車ばかりで手が出せない。
となれば、注目すべきは中古車。そこそこ新しくて、かつ中古でも買う価値があるFR車は意外と多く、また新車時は手の届かなかったモデルも比較的お手頃価格でゴロゴロしているのだ。
だったら、今のうちに買っておくのが得策かもよ?
■FRが欲しけりゃタマ数豊富で価格もこなれたトヨタ86を選ばない手はない
2009年の第41回 東京モーターショーに出展されたFT-86 Conceptがほぼそのままの形で市販化されたトヨタ 86。
スバルと共同で開発されたTOYOTA 86のネーミングは今なお人気が高い4代目のカローラレビンとスプリンタートレノの車両型式“AE86”に由来するが、新旧ハチロクを比較すると旧86に対して新86は全長プラス60mm、全幅プラス150mm、全高マイナス35mmと車幅以外はほぼ変わらない。
一方、走りのキモとなるパワーユニットは大きく進化。筒内燃料噴霧の改善とポート噴射の併用によって混合気の均質性を上げて環境要求を満たしつつ直噴エンジンの全負荷性能向上における利点を最大限に活用したD-4Sを、水平対向エンジンに世界で初めて採用。
エクステリアも空力性能の向上とも相まってよりエモーショナルなものとなり、価格も廉価グレードのRCが199万円、最上位グレードのGT“Limited”でも305万円と比較的リーズナブルだった。
そんなこともあってセールスも好調な立ち上がりを示し、2012年2月の発表から1カ月で月販目標台数の7倍となる約7000台を受注した。
その後も専用エアロを装着したエアロパッケージFT、ブレンボ社製ブレーキを採用したLimited High Performance Package、特別設定色を採用したYellow LimitedやBritish Green Limitedなどの派生モデルを発表。
2021年10月に2代目のGR86にバトンを受け継いだが、現在の中古車市場におけるトヨタ 86の相場は安い個体で100万円前後、平均価格は180万円前後と比較的買いやすい状況となっている。
■今や貴重なFRセダンのトヨタマークXはオジさん臭を感じさせないのも魅力
マークX は、トヨタを代表するセダンとしておなじみ“マークII”の後釜として2004年11月にデビュー。
1968年の誕生以来、国内累計登録台数が480万台を超える国民車でもあったマークIIのDNAを受け継ぎつつ、マークXでは“新時代の目標となるクルマで新たな歴史を切り拓く”という気概のもとにすべてを一新したトヨタの意欲作でもあった。
低重心シルエットと台形フォルムが新鮮だった躍動感のあるプロポーションも見る者に新鮮さを与えたマークX。
エンジンは215psの最高出力を誇る2.5Lと256psを誇る3Lの2種類のV6エンジンが設定され、トランスミッションには新開発の6速AT(2WD車)を採用するなど、クラストップレベルの動力性能と優れた操縦性・走安性を実現。
インテリアもLEDを用いた先進感のある天井大型イルミネーションに加え、新たな演出として室内各所で優美に発光する照明なども取り入れられていた。
2009年10月のフルモデルチェンジではレクサスIS350に搭載されていた3.5LV6エンジンや駆動力統合制御システムのDRAMSを備えた6 Super ECTを組み合わせて余裕のある上質な走りを提供したが、国内セダン市場の縮小と販売網の再編などによって2019年12月に生産が終了となった。
現在の中古車市場ではトヨタ86と同様にタマ数が豊富で価格もこなれており、下は40万円未満から上は200万円前後(平均価格約130万円)で推移。
今でも充分に通用するスタイリッシュな見た目はオジさん臭もほとんどなく、お買い得なFRモデルのひとつであることは間違いない。
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