■今秋に販売が再開される三菱ミニキャブミーブ
そして現在販売を中断している国内唯一のミニキャブミーブは今秋にも販売が再開されるという。ミニキャブミーブは日本郵便に配送用車両として導入され、今後DeNAと協業するなど、軽商用EVの本格的な普及を目指している。
搭載されるモーターは41ps/20.0kgm、総電力量は16.0kWh、1充電あたりの航続距離は150km(JC08モード)。
一見すると1充電あたりの走行距離が少ないように思えるが、三菱自動車が実施した軽キャブバンの全国ドライバーアンケート調査によると、「1日の総走行距離は77%が65km以下」という結果が出ているので、150kmという総走行距離は充分といえるかもしれない。
■「EVはリセールバリューが低い」という課題
電気自動車は加速が滑らかで、ノイズは小さい。走りの上質感を考慮すれば、仮に実質価格差を燃料代の差額で取り戻せなくても、選ぶメリットが生じる。深夜の街中を走る時なども、ノイズの小さな電気自動車はメリットを発揮する。さまざまな点で、質の高い街中の移動手段になり得るわけだ。
軽EVの損得勘定で問題になるのは、むしろリセールバリュー、即ち数年後に売却する時の価値だろう。先代(初代)リーフなどのEVは、リチウムイオン電池の劣化が激しく、航続可能距離も短くなった。そのために中古車価格と売却時の金額が大幅に下がった経緯がある。
例えば2016年式の先代リーフは、中古車価格の中心が80万~100万円に留まる。補助金の交付を受けられたものの、新車時の売れ筋価格帯が320万~360万円だったことを考えると、6年落ちが80万~100万円になるのは相当に安い。
このように電気自動車は、リセールバリューが低い欠点があるため、残価設定ローンや最近のサブスクリプションなどのリースを利用すると安心だ。
リセールバリューの低い車種は、残価設定ローンの返済額やリース料金が高額になる。
したがって電気自動車がリセールバリューの高い車種に比べて不利になることに変わりはないが、定められた金額以上に負担が増える心配はない。要は「売却時に買い叩かれるのではないか」という不安からは開放
される。
以上のように軽EVの損得勘定は、基本的には、リーフのような小型/普通車サイズのEVに準じる。
それでも軽EVの補助金を含めた実質価格が220万~230万円で、アクアやノートなどのハイブリッド車と同等になるのは魅力だ。
最近はコンパクトなハイブリッドの売れ行きが好調だが、軽自動車にダウンサイジングすると、同じ予算で本格的な電気自動車にグレードアップできる。
■軽EVは公共交通機関が未発達な地方都市と親和性が高い
軽自動車は、公共の交通機関が未発達な地域を中心に普及している。長野県、鳥取県、佐賀県などでは、10世帯に10台以上の軽自動車が所有され、東京都は10世帯に約1台と少ない。
軽自動車の普及率は、地域によって10倍以上の差があり、普及している地域では給油所(ガソリンスタンド)も少ない。自宅で充電できる軽EVは便利だ。価格が割高なことを除けば、軽EVと日本の使用環境は親和性が高い。
以上の点を踏まえると、日産と三菱による軽EVは、着実に普及していく。それに伴ってコストダウンも進み、価格が割安になって、普及のスピードも加速する。
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