普段はあまり使うことがないクラクションは、もっぱら峠道や見通しの悪い路上で相手への注意喚起のために使うくらいだろう。とはいえ、音色によって車の種類がなんとなく想像できたりするのも面白いところだ。
『警笛』という言葉のとおり、聞いた時に警戒感が喚起される高い音もあれば、低温の重厚な音もある。そんなクラクションの音色の違いは、何によって生じているのだろうか。
文/藤田竜太
写真/丸子警報器株式会社、FIAMM、AdobeStock(トップ画像=tatsushi@Adobe Stock)
■さまざまな音色があるクラクション
「プップー」というのは、クルマ関連の擬音語・擬態語の中でもっともメジャーなもののひとつ。いわゆるクラクションの音を表した。
このクラクション、日本語の法律的には警音器といい、英語ではホーンという。『クラクション』そのものは、じつはイギリスの部品メーカーの商品名(クラクソン)で、それがいまでは警音器の代名詞になってしまった。
そしてこの警音器は、危険を防止するためにやむを得ないときや、法令によって警音器を鳴らさなければならない場合を除き、むやみに鳴らすと「警音器使用制限違反」が適用され、車両を問わず3,000円の反則金(違反点数はつかない)が課せられるので、普段、鳴らすことはほとんどないはず!?
でも、ときどきやむを得ず鳴らしたときや、他のクルマのクラクションの音を聞いたとき、「威圧的な音だな~」とか「安っぽい音……」「上品な音」といろいろ違いがあることに気づいている人も多いだろう。
このクラクションの音の違いは何によって生じているのか。
簡単にいうと音の違いは、ホーンの構造の数が影響している。
いまのクルマのクラクションは、「平型」もしくは「渦巻き型」が大半で、より装着率が高いのは「平型」のクラクション。
「平型」は内部にあるボールとシャフトが触れあった音を、レゾネーター(共鳴板)で増幅する構造で、名前の通り平たく薄く、省スペースで取り付けられるので、採用している車種が圧倒的に多い。
部品点数も少ないので、コストの面でもメリットがあり、軽自動車から普通車まで幅広く普及している。
ただし、同じ「平型」でもピンからキリまでいろいろあって、コスト重視の商業車などは、この「平型」のホーンをシングルで装着。
鳴らしたときに、「ビー」と安っぽい音というか、情けない音というか、さみしい音がするのはこの「平型」のシングルタイプ。
一方、ある程度格式が高いクルマになってくると、「平型」のホーンを2個装着しているデュアルホーンを装着している。
デュアルホーンの場合、周波数の違う二つのホーン、ハイ(例:420Hz)とロー(例:350Hz)を組み合わせることで、ハイパワーで奥行きと高級感のある音となるのが特徴。
デュアルホーンのクルマなら、音色に不満がないというか、納得できることが多いはず。
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コメントの使い方クラクソン社はフランスのメーカー