■小排気量ディーゼルかハイブリッドがほしい
ミニバンユーザーにとって最大の関心事である居住性やユーティリティについては、カタログを見たりディーラーで実車を触ったりすればだいたいのことはわかるが、こういう走りの“味つけ”については、実際に乗ってみないとなかなか想像できない。
そういう意味では、初代以来の「低重心がもたらす乗用車ライクな走り」というオデッセイスピリッツは、一見すると“転向”しちゃったかに見えるこのニューモデルにも脈々と息づいているといえる。
いっぽう、個人的に物足りないと感じたのは、パワートレーンのラインナップだ。
新型オデッセイのエンジンは2.4Lガソリンで、標準がポート噴射で175ps/23.0kgm、アブソルートが直噴で190ps/24.2kgmというスペック。ミッションは全車CVT(アブソルートはマニュアルモード付き)と組み合わされる。
JC08燃費は前者が13.8km/L、後者が14.0km/Lで、アブソルートEXの2WDモデルのみ免税、他は75%減税対象となる。
このパワートレーン、ドライバビリティも燃費もよくバランスが取れていてどこといって不満はないのだが、ご存じのとおりこのパワーユニットは北米アコード用。より燃費コンシャスな日本市場ではインパクトが弱い。
たとえば、先日デビューしたばかりのアコードハイブリッドは30.0km/Lという驚異的な燃費性能を誇るし、流行のダウンサイジングターボならVWシャランはほぼ同サイズのボディを1.4Lで走らせている(JC08燃費13.5km/L)。
あれもこれもと要求するのは酷かもしれないが、アコードが長年の低迷を脱するには、フラッグシップモデルだけでもいいからそのくらいの起爆剤が欲しいと思うのだがいかがだろう。
安全装備に関しても、いまホットなテーマだけにもうちょっと踏み込みが欲しい。
衝突軽減ブレーキ(CMBS)はEXモデルのみのOP、その簡易版であるシティブレーキアクティブシステムはEXなど上級モデルに標準、ブラインドスポットインフォメーションはEXのみ、自動パーキングシステムもOPといったラインナップ。国産ライバルに負けてはいないけれど、ブッチぎっているわけでもない。
新型アコードの中心価格帯は300万円だが、価格的にはVWゴルフやボルボV40との競合も充分に有り得る。これら輸入車の安全装備の充実ぶりを見ていると、国産ミニバンだけをコンペテイターと見ていては不十分と思わざるを得ない。
この新型アコードの目標月販台数は4000台だが、それはつまりエスティマに匹敵する台数を売りたいということ。
クルマの基本的な素性はすごくイイと思うのだが、ハイブリッドなどの“飛び道具”なしにこの目標を達成するのは、そんなに簡単ではない。
出たばっかりの新車でこんなコトを言うのもなんですが、アコードのハイブリッドユニットや、フランクフルトショーに出た1.6Lディーゼルなど、“目玉”があったら大ブレイクするクルマ。そんなふうに思いました。
(ここまでのTEXT/鈴木直也)
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