ATやCVTのシフトレバーが設置されている場所は、一般的なセンターコンソールにあるものから、インパネ下やステアリング横のコラムシフト、最近ではルームミラーに配置されるなど多種多様になってきた。
シフト操作もゲート式やダイヤル式、ボタン式も多くなってきて、変速ポジションは一般的なP-R-N-D-Lから、LがBに変更になったり、2LやMモードが加えられたりと、日々進化している。
そこで、普段あまりスポットがあたることの少ない、ATやCVTのシフトレバーについて、モータージャーナリストの岩尾信哉氏が深掘りして解説する。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーWeb編集部
■シフトのポジション、Bモードって何?
ATのシフトレバー、正確には「シフトセレクター」あるいは「セレクトレバー」と呼ぶべきなのかもしれないが、いまや電子制御で変速可能な“シフト・バイ・ワイア”技術によって、“セレクター”は大きな制約なくレイアウト可能となり、センターコンソールはもとよりインストルメントパネル、はてはルームミラーに近い場所のルーフ前端部にも設置できるようになった。
ただし、どこにあってもよいというものではない。いま、ATのシフトレバーはどのように扱われているのか、眺めていくことにしよう。
まずはシフトレバー/セレクターが、基本的にどのように仕立てられているのか見ていくと、レバーを移動させるシフトゲート(溝)の形状から見てみよう。
一般的なのは直線状のストレート型だが、ゲートがジグザグ状に仕立てられたスタッガード型、アルファベットの文字のようにゲートが刻まれたJ/L/U字型などといったパターンがあるが、ゲート型の形状の利点はシフトレバーの移動だけで変速ポジションが変えられることだ。
ATの変速ポジションは、P(パーキング)-R(リバース)-N(ニュートラル)-D(ドライブ)-L(ロー)が基本だが、低速モードとしてジムニーの4段ATのようにD/L間に「2」(2速モード)や「2L」が設定される場合もある。
Dポジションのそばに、M(マニュアル)もしくはS(スポーツモード)が加わることも見られる。後述するスポーツカーなどでは、Dポジションを操作系として独立させることもある。
ちなみにCVT(無段変速機構)で設定されたMポジションでは、多数の段数を電子制御で疑似的に設定して変速比を適宜変化させて、マニュアルシフトを実現している。
最近では低速域の変速モードの「L」の代わりに「B」(ブレーキ:Brake)モードが設定されている場合がある。
ダイハツのCVTは「B」モードとして設定しているのは、CVTが基本的に変速ギアをもたないゆえに、低速“ギア”の意味とも捉えられる「L」の表示を嫌ったのだろう、軽自動車/小型車すべてで「B」ポジションを設定している。
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