2019年9月17日、カローラがフルモデルチェンジした。トヨタが10月17日に発表した、発売1カ月後のセダンとツーリングの受注台数を見ると、全体の72%がツーリングとなっている。
リリースの詳細を見ていくと、2019年9月17日の発売から1カ月となる10月16日時点で約1万9000台を受注。同日一部改良を行なった「カローラ スポーツ」の3000台と合わせてカローラシリーズ全体として約2万2000台を受注した、としている。
受注台数の内訳は、カローラが5400台(月販目標台数1700台)、カローラ ツーリングが1万3700台(月販目標台数5400台)、カローラスポーツが3000台(月販目標台数2300台)と、それぞれ好調な立ち上がりとしている。
やはり、約7割の人がツーリングを選んだということからもわかるとおり、いかにワゴンを待ち望んでいた人が多かったのかがわかる。
これまで日本車のステーションワゴン市場は、スバルのレヴォーグが独壇場で、5ナンバーサイズのカローラフィールダーがそれに続き、ミドルサイズワゴンのマツダ6(旧アテンザ)やアウトバックなどはさっぱり売れず……、という状況だった。
そんななか、3ナンバーとなったものの、日本市場に向けて若干全幅が縮小された、世界品質のカローラツーリングが発売されたのである。
奇しくも2019年10月23日から始まる東京モーターショーにおいて、新型レヴォーグコンセプトがワールドプレミアとなるが、実車の発売は2020年夏頃になると言われている。
はたして、カローラツーリングはワゴンの本命になりうるのか? モータージャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。
文/渡辺陽一郎
写真/トヨタ ベストカー編集部
【画像ギャラリー】新型カローラツーリング対レヴォーグ どっちがいい?
世界基準 と日本仕様を融合したカローラツーリングは大ヒットするか?
2019年9月17日、カローラのセダンとワゴンがフルモデルチェンジを行った。プラットフォームはTNGAの考え方に基づくタイプに刷新され、ボディは3ナンバーサイズになった。ワゴンの車名も従来のフィールダーからツーリングに改めている。
初期受注はツーリングが約7割を占めたが、ツーリングと旧型のフィールダーと比較して、さらに2020年に登場を予定する次期レヴォーグについても述べていきたい。
ちなみに現在は、日本国内ではミニバン、北米ではSUVが人気を集め、ワゴンの車種数は大幅に減った。
トヨタのカルディナ、日産のステージアやアベニールなどは、過去のクルマになっている。カローラツーリングが登場して、2020年にレヴォーグがフルモデルチェンジすれば、ワゴンは再び活性化するのか。今後のワゴンについても考えたい。
まずは新旧比較だが、新型のプラットフォームは、海外で売られるカローラセダンやカローラスポーツと共通だ。
ただし海外仕様のワゴンはホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2700mmだが、国内仕様のツーリングは、カローラスポーツと同じ2640mmになる。つまりカローラスポーツをベースに開発することで、海外仕様のワゴンに比べると、ボディとホイールベースを短く抑えた。
旧型フィールダーと比べると、ツーリングの全長は4495mmだから85mm長く、ホイールベースも40mm伸びた。全幅は50mm広がり1745mmになったが、カローラスポーツの1790mmに比べると45mm狭い。
開発者は「日本で大量に売れた先代プリウスの全幅が1745mmだから、この数値までなら許されると考えた」という。外観のデザインも旧型とは大幅に違う。
旧型は水平基調で前後のピラー(柱)を立てたが、新型はサイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げた。
外観に躍動感を持たせる効果がある代わりに、新型では斜め後方と真後ろの視界が悪化した。新型ではフロントピラーが寝ているので、斜め前方も見にくい。交差点で右左折する時、横断歩道上の歩行者がピラーで遮られやすい。
後席側のドアを開くと、ルーフパネルが下側へ下降しているから、乗降時には頭を大きく下げる。乗降性もルーフが水平基調になる旧型と比べて劣る。
最小回転半径は、15インチタイヤ装着車は旧型が4.9mで新型は5.0mだから、若干悪化した。
しかし、新型で売れ筋になる16インチタイヤは、旧型が5.5mで新型は5.3mだから、むしろ小回り性能は向上している。全幅のワイド化で前輪の最大切れ角が増えて、小回りが利くようになった。
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